感情知能とはどのような指数?ビジネスで重要視されている理由とは?

感情知能 EQを学ぶ

最近、ビジネスや教育の場で注目を集めている感情知能。しかし、その理論を少し取っ付きにくいと感じる人も多いのではないでしょうか?

実は、感情知能は基本的な概要を理解できれば、ビジネスや教育で円滑な対人関係を育めるようになります。そこで今回は、感情知能とは何なのかについて、感情知能の高い人の特徴や鍛え方などを交えて基本的な知識について解説します。

感情知能とは?

まごころ

感情知能とは、そもそも一体なんなのでしょうか?感情知能の基本的な概要についてお伝えしましょう。

概要

感情知能とは、EQ(Emotional Intelligence Quotient)とも呼ばれる能力のことです。自分と他人の感情をどれだけ的確に把握して、うまく感情を管理したり表現したりできるかを数値として把握できます。

感情知能の理論は、そもそもアメリカが起源です。イェール大学のピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって、1997年に次の4つの項目をもって定義づけされました。

感情を正確に知覚する力

1つ目は「自分や他人の感情を正確に知覚できるのか」です。要するに、自分自身の感情と相手の感情を正しく識別して感じられるかです。

この力は、感情知能を把握するうえで最も重要なベースとなります。自分や相手の感情を把握できなければ、自分や相手の気持ちがわからないからです。そもそも気持ちの理解ができないと、感情をうまく利用したりコントロールしたりもできません。

感情をうまく利用する力

2つ目は「感情をうまく利用できるのか」です。感情の利用とは、目の前にある問題や課題を解決するために、どれだけ適切な感情を表出できるかを指します。

たとえば、部下が取引先でミスをしてチーム全体の士気が下がった場合、感情知能の高いリーダーであればポジティブな言葉でミスをした部下に声がけをし、冷静でスピード感のある態度で問題や課題を解決へと導くでしょう。対して、感情知能の低いリーダーが同じような状況にある場合、ミスをした部下を怒鳴りつけたり、周囲のモチベーションを下げたりするようなネガティブな態度をすると考えられます。

感情の利用とは、言い換えると適切な感情を「作り出す」ことにつながります。求められている場面で適切な感情を作り出せる力こそが、この「感情をうまく利用する力」だと言えるでしょう。

感情の意味を理解する力

3つ目は「感情の意味を理解できているか」です。この力は、生じる感情はどこからきているのかという原因を理解して、どのような行動に昇華させるかを考えることを指します。

たとえば、同僚との人間関係に苦手意識があるとき、その原因が理解できれば解決に導けます。「意見をうまく伝えられないこと」が問題の根底にあるなら、言いにくい意見を相手にうまく伝えられる言い方を学ぶという行動に移せるでしょう。

感情を管理して対応する力

4つ目は「感情を管理して対応できているか」です。ここでの力は「自分や他人にとって望ましい決定をするうえで、感情を活用すること」、つまり気持ちをどう活かすかを指します。

いくら自分の感情を理解して、自分のなかだけで利用できても、うまく活かせなければ意味がありません。ここでの能力は、感情知能の理論のベースを総合的に調整して、最終的にどのような行動を取るべきかが決められているのです。

評価方法

感情知能を世界に広めた心理学者のダニエル・ゴールマンによると、感情知能は「自己認識」「自己管理」「社会的認識」「人間関係管理」の4つの感情知能に分類することで測定可能です。そして、これら4つの感情知能をすべて見抜くためには、次の3つの質問が有益だと言われています。

  • 質問1:あなたはどのように信頼を構築しているか?
  • 質問2:あなたが最高のライバルのために働くとしたら、あなたはどうやって自分自身を打ち負かすか?
  • 質問3:あなたは個人や企業の信念をどのように捉えているか?

1つ目の質問は、他者との信頼を確立するうえで相手が何を表現しているのかを理解し、相手が感じていることを感知し、自己の行動を意識しながら状況に応じて行動を変えいけるかをチェックします。そして、これらに関してどのような配慮があるかが調べられます。

2つ目の質問は、「自分を打ち負かすならどのような弱点をつくか?」ということです。高い感情的知性を持つ人々は自分の弱点が何であるかを知っています。自分の弱さの認識は自己認識にも通じるからです。

客観的に自分を理解できることは、個人だけでなく組織にとっても重要です。自分の強みを理解して自信をもつのは大切ですが、組織の弱点を見極めて補ううえでは自らの弱点をしっかり把握できる能力は強みになります。

そして、3つ目の質問は社会的な目的だけでなく、個人や企業の信念をどのように捉えて発信できるかのチェックです。最近のビジネスパーソンは利益を得るだけでなく世の中のために役立つことをしたいという願望が大きく、会社に社会的な目的を持つ人が多い傾向にあります。

しかし、感情知能を評価するうえでは、目的よりも個人や企業の信念をどのように理解して周囲に伝えられているかも重要です。目的よりも信念が、あらゆるビジネスの中心に据えられているためです。

感情知能がビジネス社会で重要視されている理由

心を落ち着かせている女性

最近、感情知能がビジネス社会で重要視されている理由は何なのでしょうか?ビジネス社会での有用性や、後天的な特性に焦点を当ててみていきましょう。

理由①:ビジネス社会での有用性

1つ目の理由は、「知能指数が高いからといってビジネス社会で活躍できるとは限らないから」です。心理学者のダニエル・ゴールマンがアメリカで実施した調査結果によると、ビジネス社会で成功した多くの企業家の学歴はそれほど高くないという結果が明らかになりました。そして、学歴は高くなくても感情知能が高いゆえに成功したとわかったのです。

今までの「学歴が高い人や知能指数が高い人が社会で成功する」という定説を覆す、衝撃的な事実でした。ダニエル・ゴールマンの『こころの知能指数』という書籍は世界でベストセラーとなり、ビジネスの教育現場においても知能指数だけでなく、感情知能も重視したトレーニングが行われるきっかけとなりました。

そのほか、採用面接においても学歴では測れない人間的な部分を測定する指標として、感情知能が用いられることとなりました。

理由②:後天性

2つ目の理由は「感情知能は後天的な能力であるため、大人になってからでも伸ばせるから」です。知能指数は遺伝によって決められている先天的な能力であるといわれています。しかし、先述したとおり感情知能は後天的なので、後からのトレーニングで鍛えることが可能です。

このようなEQの特徴は向上心のあるビジネスパーソンの希望の光となっており、「人付き合いがもっとうまくなりたい」「自分や他人の気持ちを理解したい」と願う人々にとって、感情知能は重要視されているのです。

感情知能が高い人の特徴

バリバリ働くビジネスマン

ここまで、感情知能の基本的な理論についてお伝えしました。続いては、感情知能が高い人の具体的な特徴について解説します。

自分の感情を冷静に受け止める

感情知能の高い人は、突発的なトラブルがあっても、狼狽したり怒りに震えたりすることなく冷静に自分の感情を受け止めて対処できます。自分の感情と他人の感情や生じている問題を区別して考えられるので、感情の波に飲み込まれることなく対処できるのです。

自信と謙虚さのバランスが取れている

感情知能の高い人は、自分のパフォーマンスに自信を持っていながらも、わからないことは部下や年下の人にも謙虚に意見を仰げます。ですから、昇進したりリーダーになったりした途端に自信過剰になって高圧的になるようなことはなく、自信と謙虚さのバランスが取れている人です。

人の話をよく聴く

感情知能の高い人は、一方的に自分の話をすることなく、まずは聞き手に回って相手の話によく耳を傾けます。相手が十分に話をし終わって、何を言わんとしているのかの理解ができたら、自分が今度は話し手に回って適切なアドバイスをするのです。

アイディアと感情を分断する

感情知能の高い人は、感情的にアイディアを述べて周囲を翻弄させるようなことはありません。自己認識力が高いので、アイディアと感情とを分断して冷静に建設的な意見を言えるからです。

アサーティブに意見を述べる

アサーティブとは、相手に伝えにくいようなネガティブな意見を、相手の心を傷つけずに伝える方法です。アサーティブのものの言い方を身につけると、自分の言いたいことを相手を傷つけずに伝えられるので非常に便利です。

アサーティブな言い方の一例としては、「本当は言いたくないんだけど……」「申し訳ないけど……」など、言いにくいことを伝える前に、一言付け足すという方法があります。一言付け足すことで、直接的にネガティブなことを伝えずにやんわりと意見を述べることができます。

共感力に長けている

感情知能の高い人は、相手の悲しみや嬉しさなどの気持ちに寄り添えます。したがって、相手が何にトラブルがあったり、ミスがあったりした際にも、自分ごとのように親身にアドバイスを送ってくれます。

共感力に長ける人は組織の中でも信頼が厚いため、チームリーダーを任せられることも少なくありません。

感情知能を簡単に鍛える方法

自分の感情をコントロールする

先ほどお伝えしたように、感情知能は大人になってからでも鍛えられる能力です。ここでは、感情知能を日常的な習慣によって簡単に鍛える方法を紹介します。

相手の良いところを見つける

相手の良いところを見つけるようにすると、ポジティブな事象に目を向ける訓練になります。「ついついネガティブなことを口走ってしまう」「人のことを否定から入ってしまう」という人は、ぜひ試してみて欲しい手段です。

感情日記をつける

感情日記とは今日あった出来事で湧き出た感情と生じた行動を、「なぜそのような感情(行動)があったのか」という理由と一緒に記録する訓練方法です。感情日記をつけると、自分の気持ちや行動を客観天気に振り返って見つめ直せます。

マインドフルネスを習得する

マインドフルネスとは、簡単に言えば「瞑想」です。毎日5分でも10分でも良いので、良い姿勢を保って目を閉じ、内省する時間を持ちましょう。

マインドフルネスには集中力の向上や感情のコントロールに役立つと言われています。

ノンフィクションのドラマや小説に触れる

ノンフィクションのドラマや小説は他者への共感力をアップするのに役立ちます。ドラマや小説を通して、自分では体験し得ない人たちの物語に入り込み、一緒に体験を共有できる力があるからです。

これらの媒体に触れる際は、「どうしてこの人はこう考えたのだろう?」「自分がこの登場人物だったらどうするだろう?」という自分なりの考えを持つことが大切です。

「ありがとう」を1日10回言う

「ありがとう」という言葉を使うと、幸せホルモンであるオキシトシンの分泌が促進するという実験結果があります。他者への感謝は感情知能にも良い影響があるため、1日10回の「ありがとう」を意識して行うと、自発的に感受性を高められます。

まとめ

ガッツポーズする男女

感情知能とは何かについて、理論の概要や能力の高め方などを解説しました。要点は次のとおりです。

  • 「感情知能」とはEQ(Emotional Intelligence Quotient)の日本語訳
  • 感情知能は後天的な特徴があるため、大人になってからも能力を鍛えられる
  • 感情知能はビジネス社会において、知能指数よりも有能な場合がある

お伝えした感情知能の概要をベースに、感情知能の理解や能力向上の実践にお役立てください。