【2021】IQとEQには相関関係がある?IQとEQの関係性とは

iqとeqの相関関係 EQコラム

1990年に、アメリカの心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏が「IQの高さ」と「社会的な成功」の関係性を調べるために実施した調査の中で、「IQの高さと人生の成功に相関関係はない」「社会的な成功をおさめる人たちは総じてEQが高い」という結論を示唆しました。では、IQとEQには相関関係はあるのでしょうか?

今回は、IQとEQの関係性について解説します。EQの概念をさらに深めたい人は、ぜひ読んでみてください。

IQとEQの関係性

IQとEQの関係性

そもそも、IQとEQにはどのような関係性があるのでしょうか?ここでは、IQとEQの簡潔な定義と両者の違いを解説しながら、IQとEQの基本的な関係性に迫ります。

IQとは「知能に関する能力」

IQとは、「知能に関する指数」です。大別すると、「適応力」「高等な知的能力」「学習能力」に分類できます。

そして、IQは主に「学習能力」に関する知能です。「物事をどれだけ正確に処理できるか」「素早く記憶できるか」といった事柄を測定します。

知能指数の測定方法はさまざまです。従来は「精神年齢÷生活年齢×100」で算出する方法が主流でした。しかし、現在はDIQ(偏差知能指数)と呼ばれる指標で示されるケースが多いようです。

EQとは「感情に関する能力」

EQとは、「感情に関する指数」です。「自分や他人の感情をどれだけ適切に認識・理解し、コントロールしたりより良い方向に表現したりできるか」を測定します。

感情は目に見えない測定できないものとして捉えられてきました。しかし、近年の学術研究では自己評価や他者評価による測定によって、ある程度その人の感情を可視化できると示唆されています。

EQはいまだ研究過程にあるため、明確な定義づけはなされていません。研究者や研究対象によって定義が異なります。測定方法も、機関や研究者によって手段や基準などが多様な点が特徴的です。

IQとEQの違い

IQとEQには大きく分けて2つの違いがあります。

  • 測定対象

先述した通り、IQは推理能力や記憶力など、学力に関係する知能が測定対象となります。一方で、EQは感情の識別や理解、管理など、主にコミュニケーション能力に関する能力が測定対象です。

  • 能力の可変性の可否

IQは、ある程度遺伝によって指数が決まっていると言われています。つまり、IQは不可変性の特徴を持つ知能です。

しかし、EQは大人になってからでも誰でも高められる能力です。可変性の特徴を持つ知能とされています。

EQの構造

EQの構造

ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏は、EQを「情動を的確に知覚し、評価し、表現する能力;思考を促進するように気持ちを利用したり生成したりできる能力:情動を理解し情動的知識を利用する能力;情動的知的成長を促進するために情動を制御する能力である」と定義づけました。

そして、EQがどのような領域や側面から成り立っているかを、次の4つの段階で示しています。

第1段階:知覚・評価の側面

自分や他者の情動への気づきや種類の識別が中心です。この段階の能力は、自分の気持ちや情動に心を開ける能力と関連します。

自分をより正確にモニターして把握し、情動を制御するためには、自分の中で生じる考えや情動をあるがままに受け入れることが必要です。あるがままの自分を受け入れて初めて、正確な自己評価や自己制御ができるようになります。

しかし、一般的に人間は自分のネガティブな側面から目を背ける傾向にあるため、偏りのない自己把握が必要です。

第2段階:情動の有効活用の側面

情動を意図的・無意識的に利用しながら、認知の処理の効率化をあげることに関わっています。人間は成長するにつれて、表出すべき気持ちと制御すべき気持ちを理解できるようになります。

例えば、親が子どもに「お客がきているときには騒がない」「暴力や怒りを他の子供に向けたりしない」などの教育です。教育を通して、子どもは「どのような状況でどのような情動をどのように表出すれば良いか」を学習します。

そして、感情のルールが決まると、他者の気持ちや行動を理解し、推論の基準として有効利用するのです。

第3段階:情動の認知・知識の側面

情動に名前をつけたり、単純または複雑な情動や気持ちの分析です。また、情動間の変化や連鎖の知識と理解も含んでいます。

この段階で、モニタリング能力や評価など、人間は成長するにつれて自分や他人の感情を内省的に捉えての分析が可能です。情動や気持ちを反復して体験するうちに、「自分や他人の中でどのような情動体験や表出がよくあることで、どういうものに意味があるのか」の判断基準ができるためです。

そして、自分や他社の情動の表出や体験をモニターしながら、状況を評価するようになります。

第4段階:メタ認知と制御の側面

メタ認知とは、1番高次の領域を指し、それを内省的に制御する側面です。第3段階でモニタリングや評価がなされた感情に基づいて、情動や行動を制御します。

第1段階〜第4段階までの情動は、一連の情動の過程であり、前者の段階ができたからといって、後者ができるとは限りません。

EQとIQには相関がある?

近年の学術的な研究により、「IQとEQには相関がある」という事実が示唆されています。2013年に発行された専門誌『Social Cognitive & Affective Neuroscience』に掲載された研究論文で、「知能は注意力、認識力、記憶力、言語能力といった基本的な認知能力にかなり依存する」「知能とEQが相関している可能性がある」と示されました。

また、論文の共同執筆者の1人である神経科学者アーロン・バーベイ氏は「知能は他者との相互関係にも依存する」と言及しています。

その他、シドニー大学とオックスフォード大学の合同研究チームによると、「学業成績の差の7%が感情を管理する能力に関係している」「学業成績の差の12%が感情を理解できる能力に関係している」と明らかにしました。

IQは学業成績の差の15%に関係しており、「継続的に努力する」などの性格的特性は差の5%にだとする研究をあげ、「『感情を理解できる能力』が学業成績に与える影響は、IQとほぼ同じ」と主張しています。

また、研究チームは「EQの高い学生はIQが高く、より良心的」と言います。反面、同レベルの知性と良心を持つ場合、感情を理解する能力は学業成績の差の3.9%に関係しており、感情を管理する能力は差の3.6%に関係していたそうです。

これらの研究からも、IQとEQが相関関係にあり、感情を理解する能力がIQと同じくらい学力にとっても重要だとわかります。

マシュマロテストからみるIQとEQの相関関係

マシュマロテストからみるIQとEQの相関関係

『EQ〜心の知能指数』は、EQの概念を社会的に広く知らしめるきっかけとなった、アメリカの心理学者ダニエル・ゴールマン氏の本です。この著作の中で、衝動を抑える能力とIQやEQには関係性がある事実を、マシュマロテストの事例をもとに紹介しています。

ここでは、マシュマロテストの概要や実験結果について詳しくお伝えしていきましょう。

マシュマロテストとは

マシュマロテストとは、1960年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが大学構内にある附属幼稚園ではじめた心理実験です。

研究対象

主に大学の教職員や院生らの4歳の子どもたちが、高校を卒業するまで追跡調査しました。

実験内容

4歳の子どもに、実験者が次の内容を伝えます。

「ちょっとだけ、おつかいに行ってくるからね。おじさんが戻ってくるまで待っていてくれたら、ご褒美にマシュマロを2つあげる。でも、待てなかったらここにあるマシュマロは1つだけだよ。その代わり、今すぐ食べてもいいけどね」

実験者が戻ってくるまでの15分〜20分で、子どもがマシュマロを食べるのを我慢するか、待たずに食べてしまうかを調査します。

マシュマロテストからわかること

十数年後、園児たちが青年になった時点で実施された追跡調査により、即座にマシュマロを手に伸ばしたグループと、実験者が戻るまで我慢できたグループの間では、情緒や社会性において劇的な差が生じていました

マシュマロを我慢した子ども

4歳のときに誘惑に耐えられた子どもは、青年になった時点で高い社会性を身につけ、対人関係に優れ、きちんと自己主張ができ、人生の難局に適切に対処する力ついていると判明したのです。高校を卒業する時点で、感情に関する側面だけでなく、学業面でもはるかに優秀だとわかりました。

マシュマロを食べた子ども

マシュマロにすぐ手を伸ばした子どもたちには、マシュマロを我慢できた子どもたちに見られたような長所がそれほど認められませんでした。対人関係を避けようとする姿勢が目立ち、小さな挫折にも動揺を見せたり感情の起伏が激しかったりする傾向が明らかになったのです。

総論

幼少期に身につけていたほんの小さな自己コントロール力の有無が、成長にともなってその子どもの人生に大きな差を生みます。つまり、EQの高さが、IQの高さと相関しているとも言えるでしょう。

EQはIQよりも重要な能力

EQはIQよりも重要な能力

学校のテストや知能検査など広く世間で信用されているIQは、その人の社会的な成功や幸せな人生の基準にはなりません。大きな母数で全体を見た場合、IQと生活水準には相関関係があるという見解もあります。

しかし、人生の成功にIQが与える影響は、多く見積もっても20%程度とも言われている通り、IQよりも感情をコントロールする自制心や、他者に共感し協調する能力であるEQで、人生に差がつくのです。

例えば、Talent Smart EQは「Increasing Your Salary with Emotional Intelligence」で年収とEQの関係性について言及しています。42,000人を調査した結果、「EQが高い人は低い人よりも年収が平均で約319万円高い」と明らかになりました。

生涯にわたってほぼ変わることがないと言われるIQとは異なり、EQは持って生まれたものでは無く学ぶ事のできるスキルです。誰でも訓練で伸ばせるとわかっています。

まとめ

IQ+EQ=SUCCESS

IQとEQには相関関係があります。しかし、大人になってからでも高められるEQを重点的に伸ばせば、ビジネスで必要不可欠なスキルの効率的な習得が可能です。

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