内発的動機づけとは?外発的動機づけとの違い・EQとの関係性・維持方法

内発的動機づけ EQコラム

EQとはEmotional Intelligence Quotientの略です。日本では「感情知能」とも呼ばれます。

感情知能とは自分や他者の感情を知覚し、自分の感情を適切にコントロールしたり表現したりする能力です。感情知能を高めるためには、感情知能を構成するスキルにそれぞれ働きかける必要があります。

今回は、感情知能のスキルの一つである「内発的な動機づけ」について、EQとの関係性やモチベーションを維持する方法などを交えて解説しましょう。

内発的動機づけとは

人の心

内発的動機づけとは「内面から沸き起こった興味関心や意欲による動機づけ(モチベーション)」です。何の利益にもならないけれど好きだからやっている趣味や、子どもの知的好奇心を満たすための行為などを指します。

ここでは、内発的動機づけと外発的動機づけとの違いやEQとの関係性についてお伝えしましょう。

内発的動機づけと外発的動機づけの違い

内発的動機づけと外発的動機づけの違いは、動機が沸き上がる要因が内側からか外側からかにあります。

先ほどお伝えしたとおり、内発的動機づけは物事への強い興味関心や探究心など人の内面的な要因による動機づけです。仕事や趣味に対する純粋な興味関心ややりがいなど、内なる動機づけが行動の主な目的です。

一方、外発的動機づけは報酬や他者評価、懲罰などの外側からのはたらきかけが要因となる動機づけです。ゆえに、対象の物事にそれほど興味関心がなくても、「報酬が欲しい」「罰を受けたくない」というモチベーションや強制力となります。

内発的動機づけとEQの関係

内発的動機づけは、EQを高めるために重要なスキルの一つです。

EQを世界に広めた心理学者のダニエル・ゴールマンは、EQを高めるために次のように重要な5つのスキルを導き出しました。

  1. 自己認識:自分の感情の動きや性格を十分に把握できる力
  2. 自己統制:自分の感情や衝動を抑制する力
  3. モチベーション:内発的な動機として達成感を基軸に捉えられる力
  4. 共感:周囲の感情を敏感に感じ取り寄り添う力
  5. ソーシャルスキル:自分の望む方向に人を動かすEQの総合力

内発的動機づけはEQのスキルでの「モチベーション」に該当します。ビジネスで優れた結果を残す人は、巨額の報酬や名誉などの外的要因を動機としません。つまり成功者ほど、富や名声ではなく、達成感を得るために何がしたいかといった内発的な欲求に従うのです。

内発的動機づけのメリット

モチベーションの高い人達

内発的動機づけには、EQを高めてビジネスや日常生活をより良い方向に導く力があります。ここでは、内発的動機づけの主なメリットを3つみていきましょう。

メリット①:モチベーションが長続きする

内発的動機づけは行動自体が目的となるため、高い集中力とやる気が長い間持続します。持続力があるため、3日坊主で終わったり、途中でパフォーマンスが低下したりがありません。腰を据えた行動ができる点がメリットです。

メリット②:結果に左右されない

内発的動機づけは必ずしも結果を出すのが目的ではないため、期待していた結果にならなくてやる気が低下する状態にはなりません。行為そのものを無条件に愛しているため、他者からの評価に影響を受けずに自分の探究心を頼りに物事を極められます。

メリット③:心の満足度や充実度が上がる

内発的動機づけに依拠した行為は、他人から認められないストレスや葛藤がありません。純粋な心のまま好きな活動ができるため、心も満足度や充実度が外発的な動機の場合と比較すると高くなります。他人にオドオドする必要なく生き生きと生活できるので、心身の健康を保って過ごせるのです。

内発的動機づけのデメリット

落ち込んでいる男性

内発的動機づけは良い面ばかりでなく、注意すべき点もあります。ここでは、内発的動機づけでありがちなデメリットを3つ解説しましょう。

デメリット①:結果に結びつくとは限らない

内発的動機づけは個人的な心の充足感にはつながりますが、他者評価に結びつくとは限りません。例えば、ポエムを書くのが好きで、ひたすらポエムを書き続けた場合を考えてみましょう。

自己満足でポエムを書き留めておくのであれば、自己の充足感だけを考慮すれば良いでしょう。しかし、そのポエムを「生活の糧にしたい」「他者から評価されたい」という目的がある場合は、内発的動機づけだけでは不十分です。内発的な動機だけでなく運やセンス、マーケティング力など内発的な動機以外の要素が必要になります。

デメリット②:興味関心が必要

そもそも自分の内から湧き上がる興味関心がない人は、内発的動機を見つけること自体が難しい場合があります。

例えば、幼い頃から親の言うことばかり聞いてきた人は、親の望む選択を無意識に選んできた傾向が強いため、自分が本当にやりたいことが曖昧です。他者評価を基準にした選択に慣れた人は自己分析が希薄なので、興味関心自体を見つけ出せない場合があります。

デメリット③:個人差がある

内発的動機づけには個人差があるため、「すべての人に必ず当てはまる動機」がありません。同じ内容の仕事でもある人にとっては興味関心をもってもらえても、違う人にとっては興味のない内容である場合があるのです。

内発的動機づけには個々人の心から湧き上がるものなので、「誰にでも通じる絶対的な目的はない」と認識しておきましょう。

内発的動機づけの見つけ方

自分の気持ちを探している人

内発的な動機づけには自分の内から湧き上がるような興味関心が必要です。ここでは、内発的動機づけを他者との会話を通して見つける、「動機づけ面接」による方法を紹介していきます。

開かれた質問をする

開かれた質問とは「はい」「いいえ」で返答できない質問です。

例えば、「あなたの休日の過ごし方についてどう思いますか?」という質問は「はい」「いいえ」で答えられない開かれた質問です。開かれた質問をすると、自分の考えを深めたり広げたりできるので、自分の内なる心(動機)に近づけます

共感力を活用する

人からどう思われるか不安で自分の本当の気持ちを抑えている人は多いもの。共感力を活用すれば、話し相手との信頼関係(ラポール)が形成され、「自分を理解してくれている」「何を話しても受け入れてもられる」という安心感があります。共感力を活用すれば自由に発言できる雰囲気となり、自分の本当の気持ちに気付きやすくなるのです。

肯定的な評価を返す

肯定的な評価は、話し手が自分の過去について言及した場合に特に有効です。

例えば、「あなたが過去に時間を忘れて夢中になったことはありますか?」と質問した場合、相手が述べる物事に対して肯定的な評価を返しましょう。肯定的な評価が返されると、話し手は自分の努力や価値が認められたと感じ、自分の内なる声に更に素直に耳を傾け、言語化できるようになります。

自発性を引き出す

心の奥底に眠っているやる気の源は自発性を引き出さなければ見出せません。内発的な動機は、他者から強制されたり指示されたりするものではないからです。

自発性は自分自身の問題を考える過程で把握できます。自発性を引き出すには多面的な観点から「何ができたか」「どう感じたか」を考えるのが重要です。目標がある場合は、その目標を達成するためにどうすれば良いか自分自身でプランニングをすると効果が高まります。

考えや感情を共有する

考えや感情を他者と共有すると、内発的な動機を深く探究できます。方法は「相手が話した内容をリピートする」ことです。リピートすると、相手が何を考えて感じているのか、相手と一体になって共感できます。

リピートする際の注意点は「不自然にならないこと」です。単に相手の言った言葉を繰り返し続けると、かえって違和感のあるコミュニケーションになります。リピートする際には相手と同じ言葉を適度に返しつつ、言いたい内容や会話が意図する気持ちを咀嚼して伝え返すようにしてください。

選択肢を提示する

自分の心に沸き起こる動機が思い浮かばない場合は、相手に選択肢を提示して道を探す手助けができます。その選択が相手の心に響かないものであっても、他者の言葉をきっかけに突破口を見出せる場合があるからです。

例えば、相手が自分の内発的動機づけに否定的になった場合です。「〇〇という考え方があると思うけどどう思う?」と相手に新しい価値観を提示しましょう。このように、相手が気づかなかった観点から新しい選択肢を示すと、意思決定のサポートにつながります。

一般論で片付けない

気づきを促す際には一般論ではなく、個人の目線から動機づけを見つけられるようにしましょう。内発的動機づけは個人のモチベーションが主体となるので、一般論をベースに答えを導くと間違った動機づけとなる場合があるからです。

一般論はあくまで他者や世間の価値観です。「あなたにとってどういう意味があるのか」が、内発的な動機づけを見つけるうえでは重要なのです。

内発的動機づけを維持する方法

力を合わせるメンバーたち

内発的動機は、外発的動機づけと比較してモチベーションが維持しやすい傾向にあります。ただ、他者評価を気にしすぎる段階からの移行過程にある場合は、内発的動機と外発的動機はそれほど区別がつきません

では、せっかく見つけた内発的動機づけを手放さないためにはどうしたら良いのでしょうか?ここでは、内発的動機づけを維持する方法にお伝えしていきます。

自問自答する

自問自答して得た答えはモチベーションが維持しやすい傾向にあります。自問自答とは自分で問いを出して自分で答える問題解決の手法の一つです。

自問自答を繰り返せば、自分を突き動かす確固たる答えに辿りつけます。最低でも3回は「なぜ」と自問自答を繰り返して、自分の心を突き動かす真理を探ってみましょう。

現実的で挑戦的な目標を設定する

個人的な情熱や願望に目を向け現実的で挑戦的な目標を設定すると、モチベーションが維持しやすくなります。個人的な情熱や願望に紐づけられた目標は、利他的な奉仕をする際にもやる気の原動力として昇華が可能です。

好きな部分に目を向ける

自分が楽しめる物事に目を向けると、自然と自分が楽しめない物事がわかってきます。内発的動機づけを維持するには、建前を排除して自分の気持ちに素直になる心が重要です。好き嫌いを押し殺して、自分が本当に好きなことが曖昧になっている人は特に意識してみてください。

メンターに相談する

燃え尽き症状やモチベーションの拠り所に悩む人は、メンターへの相談を検討してみましょう。生活や仕事に充実感がなかなか持続しない人は、自分だけで解決するのが難しい場合があるからです。

充実感のなさや起伏の激しさは、自分だけでなく職場や家庭にとっても重大な問題です。心の問題に理解のある上司や先輩などにアドバイスを仰ぎましょう。

ネガティブな対象に近寄らない

ネガティブな対象に近づくとやる気を削がれる可能性があります。周囲のガティブな気持ちが自分に影響し、モチベーションの低下をもたらす場合があるからです。

一方で、情熱や誠実さなど内発的なポジティブな動機は、お金や他者評価には変え難い伝染力があります。自分の価値観に沿った前向きな環境に身を置けば、純真な心を偽らずに熱量を維持することが可能です。

まとめ

生活を楽しんでいる人

今回は、感情知能のスキルの一つである「内発的な動機づけ」について、EQとの関係性やモチベーションを維持する方法などを交えてみてきました。要点をまとめると次のとおりです。

  • 内発的動機づけはEQを高めるうえで重要なスキルである。
  • 内発的動機づけはビジネスや日常をより良い方向に導く力がある。
  • 内発的動機づけは他者とのコミュニケーションを通して見つけ出せる。

ビジネス社会の多くの成功者は、内発的動機づけに基づいた原動力を重要視しています。内発的動機づけの発見と維持はEQ向上にもつながる行為です。紹介したEQにおける内発的動機づけの知識を、日常生活やビジネスにぜひ活用してみてください。