共感力とは?高い人・低い人の特徴とEQとの関連性

共感力 EQを学ぶ

EQを伸ばすうえで重要な要素の一つに「共感力の向上」があります。しかし、いざ「共感力をアップさせよう」と思っても、「そもそも共感力とはどのような力なのか、漠然としか理解できていない」という人は多いものです。

そこで、本記事は「共感力」に焦点を当て、EQとの関連性や具体的なトレーニング方法について解説していきます。

共感力とは

手を添えている

「共感力」とはどのような定義で、どのような要素により構成されているのでしょうか?

共感力の定義

共感の一般的な意味は、他人の意見や感情などをその通りだと感じることです。つまり、共感力とは相手の気持ちに寄り添える力とも言い換えられます。

ただ、共感力とは単に他者が何を感じるかわかる力ではありません。なぜなら、どんなに相手の気持ちを感じられても、共感する側は相手とまったく同じ感情になれないからです。

したがって、本当の共感力とはもう一歩踏み込んだ力、つまり相手から「この人なら自分の気持ちを理解してもらえる」という相手とのラポール(信頼関係)を構築できる力にも通じると言えます。

共感力を構成する3つの要素

共感力は「観察力」「想像力」「表現力」の3要素によって構成されています。そして、共感力はこれら3要素を伸ばすことで能力の向上が実現可能です。

要素①:観察力

「観察力」とは、相手の感情や意志を相手の雰囲気や表情、声の高低などから察する力です。

たとえば、相手と会話をしている際に、相手の話す内容が明るくてポジティブなものであっても、眉間にシワが寄っていたり声のトーンが暗かったりすると、本心で相手はネガティブな感情を持っているかもしれません。

このように、ただ相手の様子を見るだけでなく、相手の中に入り込むように注意深く観察すると、相手の心にさらに深く寄り添えるのです。

要素②:想像力

「想像力」とは、相手がどのような感情を抱いているのか想像する力です。

相手がどのように感じているか、本人以外が完璧に理解するのは不可能ですが、想像することはできます。その想像はときに外れてしまう場合もあるでしょう。

しかし、「相手は今どんな気持ちだろう」と相手の立場に立って想像しないと、相手の気持ちを理解するスタートラインには立てません。

要素③:表現力

「表現力」とは、相手が感じている気持ちを言葉や行動にして表現する力です。

相手の話を聞いて、相手の気持ちを想像して言葉や頷きなどで伝え返すことで、共感している姿勢を相手に伝えられます。その表現が適切であるほど共感は相手に伝わりやすくなり、信頼関係を構築するうえで効果的です。

2つの共感力

一般的に、共感力には「感情的な側面」「認知的な側面」の2つがあると言われています。適切な共感力を発揮するためには、この2つの共感力の均衡が重要です。

共感力①:感情的な側面

共感力の「感情的な側面」とは、相手の感情に入り込んで自分ごとのように感じる力です。

たとえば、会社で部下が取引先とトラブルになっている様子を目撃したとします。感情的な側面が機能すると、後から部下に「大変だったね」と感情を汲み取って話しかけたり、「ツラそうだな」と相手との感情の共有をしたりします。

共感力②:認知的な側面

共感力の「認知的な側面」とは、相手の視点に立って状況を理解する力です。

たとえば、心配そうな顔をして悩んでいる他者の様子を察して、「何かあったのかな」と内面を把握しようとする場合をいいます。

共感力とEQの関連性

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、心理学者のダニエル・ゴールマンが世界に広めた感情知能の概念です。感情知能とは、自分と相手の感情を把握し、状況に応じて自分の心をコントロールできる力のことで、EQの能力の一つとして求められる共感力と関係性があります。

EQにおける共感力とは、他者の感情に盲目に追従することではありません。相手の気持ちをしっかりと把握したうえで、適切な対応や決断ができる「共感の認知的な側面」に目を向けることが重要だとされています。

共感力の高い人の6つの特徴

ハートを大切に守る

では「共感力の高い人」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?ここでは、共感力の高い人が持つ代表的な特徴を6つ紹介していきます。

特徴①:他者への洞察力が高い

洞察力とは、相手のほんの小さな変化に気付ける観察力です。他者の表情や服装などの見た目や、言葉の雰囲気などの小さな違いを見つけ、心の機微を感じ取れる力とも言えるでしょう。

また、洞察力が鋭い人は周囲への好奇心が旺盛な傾向が強く、いつも興味を持って周りを見ています。「この人の趣味は何なのだろう」「どのような性格なのだろう」と、他人の情報については何でも知りたいと思っているからです。

そして、共感力の卓越した人は、その聞き出した情報の中から、自分との共通点を見つけて会話を広げたり盛り上げたりもできます。

特徴②:非言語を認知する能力が高い

非言語とは言葉を介さないコミュニケーションであり、非言語を認知する能力とは表情や身振り手振りなどから相手の感情を読み取る力のことです。共感力の高い人は相手が言葉にできない感情を察する力があるため、ときには当人すら気付いていなかったような真理への共感を示せる場合があります。

特徴③:相手の話をしっかり聴く

共感力の高い人は「相手について知りたい」という欲求はありますが、「自分について相手に知って欲しい」という気持ちは希薄です。したがって、共感力の高い人は会話場面における70%〜80%、聞き手に回る傾向にあります。

しかも、「ただ話を黙って聞く」のではなく、相手が話したい内容を先回りしたり頷きや適切な頻度でおうむ返しを会話に入れたりして、コミュニケーションが円滑に進むような気配りができます。

特徴④:周囲の感情に影響されやすい

共感力の高い人は、他者についての興味関心が強すぎるがゆえに、相手の感情に逆転移しやすい傾向があります。逆転移とは心理学用語で、相談を受けている側が相談者の話を聴いているうちに相談者自身の心の問題に影響を与える現象です。

このような心理現象は一般的に「情が移る」とも言われます。しかし、ポジティブな内容ならまだしも、相手のネガティブな感情までも自分ごととして捉えてしまう可能性があるため、周囲の感情に影響されやすい特徴があります。

結果として、感受性が強いがゆえに自分の気持ちとは矛盾する行動を取ってしまったり、意見がブレてしまったりする原因となるのです。

特徴⑤:内向的で繊細

共感力の高い人は他人への興味関心は深いですが、人の多い場所は苦手です。本当は内向的な性格なので、少人数での交流が好きな傾向にあります。なぜなら、共感力の高いため大人数といると多くの情報に敏感に反応してしまうため、精神的に疲れてしまうからです。

また、共感性の高い人は感受性の強いため、少し強い口調で責められたり、大きな声で怒られたりすると必要以上に傷ついてしまう繊細さもあります。

特徴⑥:完璧な共感は不可能だとわかっている

共感力の低い人ほど「相手の気持ちを100%理解するのは簡単だ」という自惚れがあり、共感力が高い人ほど「相手の気持ちを完璧に理解するのは不可能」と感じています。この事実は共感力が必要な心理カウンセラーや相談員などにも通じる精神性で、相手への共感を大切にする人ほどその難しさを痛感しているからです。

「相手を理解できている」という自尊心は、ときに相手の話を深く聴いたり気持ちに寄り添ったりする際の弊害になります。したがって、「相手への共感に完璧はあり得ない」という境地に立つことが、共感を高めるうえでは重要なのです。

共感力の低い人の5つの特徴

自分勝手

対して、共感力の低い人とは具体的にどのような人なのでしょうか?ここでは、共感力が低い人が持つ代表的な特徴を5つ紹介します。

特徴①:自分本位

共感力の低い人は、基本的に自分にしか興味関心がありません。ゆえに、「相手がどう思うか」よりも「自分がどう思うか」を優先します。

特徴②:他者の悲しみや弱者に寄り添えない

共感力の低い人は相手の気持ちを想像できないため、他者の悲しみや弱者の気持ちに寄り添えません。つまり、相手の立場に立ったモノの見方ができない視野の狭い人とも言えます。

人間関係の線引きができ、他人の感情に振り回されない利点もありますが、配慮のない言動により人間関係がうまく構築できないケースが多い傾向にあります。

特徴③:自己主張が強い

共感力が低い人は、常に自分が相手よりも上にないと気が済みません。したがって、自己主張や自己顕示欲が強い人が多い傾向にあります。

ささいなことでも相手よりも優位に立ちたいと思っているため、相手の気持ちを考えずに言動する場合もあります。

特徴④:後先を考えない行動を取る

共感力の低い人は場の空気を読むのが苦手なので、後先を考えない行動を取ることがあります。常識では考えられないことを思いつきでする、怖いもの知らずな人とも言えるでしょう。

特徴⑤:他者をコントロールしたがる

相手の立場や気持ちへの配慮が欠如しているため、自分の思い通りに相手をコントロールしたいという支配欲が強い傾向にあります。共感力が低い人は相手の辛さや悲しみを理解しようとしないので、自分の考えだけで物事を押し通そうとするのです。

共感力が高い人の短所と長所とは

長所と短所

共感力が高いことは、良い面ばかりではありません。共感力が高いがゆえの短所もあります。

共感力が高い人の2つの短所

共感力が高い人の代表的な短所は次の2つです。

短所①:心労が溜まる

共感力の高い人は相手の気持ちに過剰に寄り添いすぎるため、精神的なストレスが溜まりやすいと言われています。自然と気苦労が増加し、精神的なエネルギーが消耗してしまうのです。

短所②:主体性のない人と思われる

共感力の高い人は、先ほどお伝えしたように自分について話すよりも相手の話を聴くのが好きな人です。ゆえに、相手に気分よく話してもらう姿勢を優先しすぎると、本心で同意していない事柄についても同調してしまう場合があります。

結果として、「自分の意見を持たない人」と思われてしまうことも。相手の意見に合わせ過ぎてしまうため、主体性のない人というレッテルを貼られることがあるのです。

共感力が高い人の3つの長所

共感力が高い人の代表的な長所は次の3つです。

長所①:人間関係が円滑になる

共感力の高い人は相手の気持ちを考えた言動ができるため、周囲から慕われ信頼される傾向にあります。価値観の違う人に対しても理解しようという気持ちがあるので、自我がぶつかり合って喧嘩になったり、コミュニケーション力不足で仕事のパフォーマンスが落ちたりがありません。

周囲に嫌われることも少ないので、人間関係を円滑に進められます。

長所②:交渉が成立しやすくなる

共感力の高い人は相手が何を感じているのか直感で察する能力に長けているため、仕事の交渉時においても有益です。

例えば、営業で顧客のニーズにどのように応えるかはビジネスを成功に導くうえでの重要なポイントです。共感力の高い人はこのような時に相手の気持ちを無理なく理解できるので、他者目線に立った提案ができます。

長所③:他者を傷つけずに済む

共感力の高い人は自分の感情に任せた言動が少ないため、他者を傷つけないコミュニケーションに長けています。「今この話題を振ったら相手はどのような気持ちになるか」という配慮があるため、相手が不快に思う発言や行動をしませんし、自分の意見が絶対に正しいと押し付けることもありません。

他者の気持ちに配慮した推測力や心配りができているので、他者を傷つけずに済むのです。

共感力を高める方法

パワーを蓄えている男性

共感力について理解できたところで、次からは共感力を高める方法を紹介しましょう。

トレーニング方法①:人間観察を通した他者理解

人間観察とは、周囲を見渡しながら1人に的を絞り、相手の立場に立って物事を考えることです。そして、人間観察をする際にはただ漠然と相手の気持ちを想像するのではなく、次の点を意識して実行しましょう。

  • 「自分が相手だったらどのような気持ち?」
  • 「自分が相手だったらどのように行動する?」

このように、相手の立場になって物事を考える習慣づけをすると共感力がアップします。

トレーニング方法②:小説を読んで想像力を向上させる

小説を読むことは物語の登場人物の気持ちを想像させる力がつくので、共感力アップにも効果的です。共感力のトレーニングとして小説を読む際には、次のような点に思いを馳せながら読み進めてみてください。

  • 「自分が登場人物だったらどういう気持ち?」
  • 「自分が登場人物だったらどう行動する?」
  • 「日常生活で自分は同じような気持ちや行動があった?」
  • 「周囲で登場人物と同じような境遇にある人はいる?」

小説には、ご自身が経験し得ないような世界や価値観を提供してくれる力があります。より広い視野で共感力を鍛えられる方法と言えるでしょう。

トレーニング方法③:傾聴力を磨いて表現力を高める

普段、ご自身が話し手に回っているか聞き手に回っているか意識して会話をしていない人は、意識して聴き手に徹してみましょう。人の話を聴くことは「傾聴」とも呼ばれており、他者との信頼関係を構築し、人間関係をスムーズにするうえで有効だとされています。

また、効果的な傾聴を実現するためのポイントは次の通りです。

  • 会話のうち70%〜80%は聴き手に回る
  • 話を聴く時は「繰り返し(おうむ返し)」と「頷き」を適宜入れる
  • 相手の言葉にできない気持ちを咀嚼し、一緒に言語化する
  • 相手の立場に立って実際の光景を想像する
  • 沈黙を恐れない

相手の話を「聞ける人」は多くとも、しっかりと話を「聴ける」人は少ないものです。共感力を高めるためには相手への理解がベースになります。共感している姿勢をうまく表現したい人は、まずは人の話をしっかりと聴けるようになりましょう。

まとめ

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EQの重要な能力の一つである「共感力」に焦点をあて、一般的な共感力とEQとの関係性や共感力を高めるトレーニング方法などについて解説しました。

要点は次のとおりです。

  • 共感力はEQを高めるうえで重要な要素の一つ。
  • 共感力には認知と感情の2つの側面があり両面のバランスが大切。
  • 共感力の3要素「観察力」「想像力」「表現力」を伸ばすことで共感力は高められる。

共感力はEQを構成する能力のうち、一番基本となる大切な力です。今回紹介した共感力に関する内容を、ぜひ日常生活やビジネスで活用してみてください。

なお、EQを高める方法を知りたい方は、こちらをチェックしてみてください。