EQの意味とは?測定可能な要素と能力の特徴について

EQの意味 EQを学ぶ

EQとは、どのような能力で人間の何を測定しているのでしょうか?近年、コミュニケーションスキルの指標として注目を集めているEQ。

しかし、その能力についての学びを実生活に活かせている人は多くありません。そこで、今回はEQの意味に迫るべく、構成要素や測定方法、能力の特徴などについて詳しく解説していきます。

EQの意味は「感情知能」

人間の感情

EQは日本語で「感情知能」と呼ばれ、最近ではビジネスだけでなく人間関係全般をより良くするためのコミュニケーションスキルとして、さまざまな場面で重要視されている能力です。学歴やIQがそれほど高くなくても、EQの高さゆえに世界で成功している人には、次のような傾向が強いといわれています。

  • 自分の感情の状態を正確に把握している
  • 自分の感情をうまく管理できている
  • 相手の感情を知覚する能力に長けている

つまり、EQの高い人とは端的にいうと自分の感情を正確に知り、コントロールできるだけでなく、他者の感情の状態を知覚できる能力が高い人と言えます。

EQは「Emotional Intelligence Quotient」の略

EQは、「Emotional Intelligence Quotient」の略であり、EQに即した感情表現とは、具体的に次のような場合があげられます。

  • 伝えにくい内容を他者に伝える際の言葉づかい
  • 失敗やトラブルに対する行動
  • 良好な人間関係を保つための表情

つまり、EQとは自分と他者の感情を正しく認識し、適切な管理ができる能力に加えて、その感情を適切に表現するスキルなのです。

Quotientの意味は「指数」

「Quotient」とは「指標や比率」という意味の英語ですが、EQに関して用いる場合は感情の知能を測定した結果の「指数」を指します。つまり、「自分と他者の感情をどれくらい正しく認識して適切に表現できたのか」という感情知能を測定した結果の指数がEQの指標なのです。

EQで測定できる3つの感情知能

3つの感情

EQの発揮度の高さは総合的な社会知性の高さで決まり、単一な要素で構成されているわけではありません。この章では、EQを構成する3つの知性について解説します。

測定要素①:心内知能

心内知能とは、自分で自分の状態がわかる能力です。自分自身の心を理解できていなければ、自分の感情を管理したりうまく表現したりできません。心内知能を構成する能力は、次の3つに区分されます。

  1. 自己認識能力
  2. ストレス共生
  3. 気力創出

1. 自己認識力

自己認識力とは、自分の中にある情動や感情を自分でわかる力です。自己認識力がなければ、その時々の感情に流されてしまい、人との関わりがうまくいきません。自己認識力は次の4点から測定可能です。

  • 私的自己意識:自分の感情や人間性の理解度
  • 社会的自己意識:他者にとっての自分の存在の理解度
  • 抑うつ性:過去や現在の自分に対する悲観性
  • 特性不安:過去や現在の自分への不安度

自己認識力はEQのベースとなる能力。まずはこの力を自覚することが、EQの向上につながります。

2. ストレス共生

ストレス共生とは、怒りや恐れなどのネガティブな感情を自分で鎮められるようにコントロールする力です。ストレスと共生ができなければ、怒りに任せて部下を怒鳴りつけてしまったり、仕事を投げ出して会社を辞めてしまったりといった衝動的な行動をとってしまいます。ストレス共生は次の3点から測定可能です。

  • 自己コントロール:自分の気持ちや行動の調整力
  • ストレス対処:恐れや不安などのネガティブな感情の調整力
  • 精神安定性:気分のムラの程度

ストレスの共生とは、ストレスをやみくもに抑え込むのではなく、ストレスを適切に調整して困難や失敗から立ち直る心の強さです。

3. 気力創出力

気力の創出力とは、ポジティブな精神状態を維持し続ける力です。いくら高い精神性があっても、その気力を継続的に生みだせないと、安定的に能力を発揮できません。気力の創出力は、次の4点から測定可能です。

  • セルフ・エフィカシー:自分の知識や能力に対する自信
  • 達成動機:粘り強く取り組む力
  • 気力充実度:精神的なエネルギーの強さ
  • 楽観性:ポジティブに捉える力

気力を維持するためには、やる気ばかりあっても意味がありません。達成意欲だけでなく、難局に対して「なんとかなるさ」という楽観的な気持ちも重要です。

測定要素②:状況判断知能

状況判断知能とは、相手の様子を理解して受け入れたうえで、自分と相手との様子を客観的に観察できる能力です。自分の気持ちを理解して適切に伝えられても、相手の状況を判断できなければ、恣意的なコミュニケーションになりかねません。状況判断知能を構成する能力は次の2つに区分されます。

  1. 対人受容力
  2. 共感力

1. 対人受容力

対人受容力とは、コニュニケーションを取っている相手の感情を理解し、受け入れる力です。対人受容力が低いと、自分のことばかり相手に伝える関係性しか築けないため、自分の主張が相手に受け入れられにくくなります。対人受容力は次の3点から測定可能です。

  • オープンネス:自分と他人のお互いが心を開く程度
  • 情緒的感受性:相手の心の機微の察しやすさ
  • 状況モニタリング:客観的に状況を判断して行動に活かす力

相手の感情を受け入れるためには、「自分の心を開いても良い」という相手を選ぶ必要があります。そして、相手を選別する際には、自分の感受性を発揮させて自分と相手の状況を観察してうまく調整することが重要です。

2. 共感力

共感力とは、相手の感情に寄り添う力です。共感力が乏しいと、相手から反感をかったり、深い関係性を築けなかったりする原因となります。共感力は次の3点から測定可能です。

  • 感情的豊かさ:相手に対しする優しさや心配り
  • 感情的被影響性:周囲の状況や相手の感情への影響の受けやすさ
  • 共感的理解:相手の気持ちに寄り添う力

共感力には、相手の感情への「認知的な理解」と「感情的な反応」の2つの側面があります。

感情の認知的な理解とは、相手の感じていることをどの程度理屈で理解できているかという側面です。そして、感情に対する感情的な理解とは相手の状況を自分ごとのように嬉しがったり悲しがったりできる側面です。どちらが大きすぎても問題があるため、両側面のバランスが重要と言えます。

測定要素③:対人関係知能

対人関係知能とは「他者に適切かつ効率的に働きかけられる力」です。自分の考えていることを素直に話すだけでは、相手から誤解されたり拒絶されたりといったミスコミュニケーションが生まれます。

したがって、内容をどのような順序で伝えるかという知識とテクニックも、良好な対人関係を築くうえで重要です。対人関係知能を構成する能力は次の3つに区分されます。

  1. 自己表現力
  2. アサーション
  3. 対人関係力

1. 自己表現力

自己表現力とは、自分が感じていることを的確に相手に伝える力です。自己表現力が低いと、心の中でいくら相手のことを思いやっていたとしても、相手に気づいてもらえません。自己表現力は次の2点から測定可能です。

  • 情緒的表現性:悲しい、嬉しいなど自分の素直な感情の表現力
  • ノンバーバル・スキル:しぐさや表情、視線など言葉以外のコミュニケーション力

言葉でいくら「楽しい」と言っていても、眉間にシワを寄せて悲しげだと、逆に相手に心配されるかもしれません。コミュニケーションは、自分の感じている気持ちを相手に適切に伝えるられて初めて成立します。言葉だけでなく、言葉以外の要素との一貫性をもたせて表現することで、自分の感情を正しく相手に認識してもらえるのです。

2. アサーション

アサーションとは、相手を傷つけることなく自分の考えを主張する力です。アサーションがうまくできないと、「ノー」とハッキリ断れないので、ストレスを溜め込んでしまいます。アサーションは次の3つの観点から測定可能です。

  • 自主独立性:主体的に物事を取り組む自立心
  • 柔軟性:考え方や感受性の幅
  • 自己主張性:自分の意見や判断素直に伝える力

ただし、主義主張をハッキリと伝えるといっても、相手の気持ちをムシして言いたいことを伝えるわけではありません。アサーションの高い人は、相手の感情の状態を受け入れたり共感したりしながら自分の主張をフレキシブルに調整します。

3. 対人関係力

対人関係力とは、トラブルを適切に解決する力です。対人関係力がないと、トラブルが生じたときにさらに問題を悪化させたり、同じような間違いを繰り返したりする原因となります。対人関係力は次の2つの観点から測定可能です。

  • 対人問題解決力:人間関係のトラブル解決力
  • 人間関係度:周囲とのコミュニケーション力

対人関係力の高い人は、対処に困るような人間関係においても、うろたえずポジティブに解決に導こうとします。

EQが高い人の特徴4つ

ビジネスにおけるコミュニケーション

対人関係における「識別」「利用」「推察」「調整」の4つの能力が、EQの高い人は長けているといわれています。

特徴①:自分の感情を的確に識別できる

1つ目の特徴として、EQの高い人は自分や他人の感情を識別する能力が高い傾向にあります。

たとえば、営業先の顧客からクレームが入ってパニックに陥った場合、EQの高い人は「自分が今パニックに陥っている」という気持ちを正確に把握できています。感情を的確に識別できると、自分や他人の感情が動くきっかけがわかるため、自分の長所や短所を理解して限界をわきまえながらコミュニケーションを取ることが可能です。

特徴②:自分の感情を適切に利用できる

2つ目の特徴として、EQの高い人は怒りや悲しみなど、ネガティブな感情をうまくコントロールできます

自分の感情を客観視できると、先述した例のような突然のクレームに対しても、冷静に適切な対応へとつなげられるでしょう。状況に合わせて最適な感情へと誘導できれば、仕事へのモチベーションも維持できます。

特徴③:自分や相手の感情を推察できる

3つ目の特徴として、EQの高い人は自分や相手の感情について推察する能力に長けています。顧客のクレームに対して、怒りの原因がどこにあるのか傾聴を通して推しはかれる力があると、トラブルを早期解決へ導けるでしょう。

特徴④:自分の感情を適切に調整できる

4つ目の特徴として、EQの高い人は自分の感情を適切に調整できます。失敗やトラブルに対してネガティブになるのではなく、今後自分を成長させるための教訓と捉えられるような人は、自分の感情を適切にコントロールできていると言えるでしょう。

まとめ

EQの意味に関して構成要素や測定方法、能力の特徴などを交えて解説しました。要点は次のとおりです。

  • EQの構成要素は「心内知能」「状況判断知能」「対人関係知能」の3つで、発揮度の高さは総合的な感情知能の高さで決まる
  • EQの測定方法は「個人の自立と成長を支援する」という観点から、EQの発揮度を行動面から測定可能である
  • EQの高い人は自分と他者の感情を正しく認識し、適切に表現できる

EQの明確に関しては、まだ正確な定義が定められていないものの、能力の意味を正しく理解することは、ビジネス社会で活躍するうえで重要です。今回の内容を、EQの本質を理解し、自分や他人への理解を深め、よりよい人間関係を構築するために役立ててください。