『EQ2.0~「心の知能指数」を高める66のテクニック』(以下、『EQ2.0』)という書籍をご存知でしょうか?EQ(Emotional Intelligence Quotient; 感情知能)とは、自分自身や他者の感情の動きに気づき、理解する力で、社会的な成功者の多くが身につけているスキルです。
今回は、『EQ2.0』で紹介された内容をベースにEQのメリットや能力を高められるトレーニング方法を解説します。興味のある人はぜひ参考にしてみてください。
目次
書籍『EQ2.0~「心の知能指数」を高める66のテクニック』とは
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まずは、『EQ2.0』の本の概要についてお伝えしていきます。書籍の要約と巻末に付属するオンラインテストの概要を紹介します。
『EQ2.0』の要約
『EQ2.0』は、心理学者であるトラヴィス・ブラッドベリー氏とジーン・クリーブス氏によって書かれたEQに関する本です。メンタリストのDaigo氏やダライ・ラマ氏も絶賛したことでも有名で、英語版は200万部、世界16ヶ国でベストセラーになりました。
書籍は次の8つの章とエピローグによって構成されています。
第1章 EQへの旅
第2章 EQとはそもそも何か
第3章 EQの四つのスキルを理解する
第4章 EQを高めるための行動計画
第5章 自己認識力を高めるためのテクニック
第6章 自己管理力を高めるためのテクニック
第7章 社会認識力を高めるためのテクニック
第8章 人間関係管理力を高めるためのテクニック
エピローグ EQ分野における最近の発見
前半はEQの基本的な概念について、後半はEQ向上に必要なトレーニング方法について、スキル別に記載されています。
『EQ2.0』のオンライテストの概要
『EQ2.0』の巻末に付属するオンラインテストは2回受けられます。個人情報を入力する必要はなく、15分ほどで終了する気軽なテストです。パスコードを使用すると、28問のカジュアルな問題が出題され、「普段から〇〇な考えをしているか?」というシンプルな質問に対して、「Never」から「Always」の5択から選択する形式です。
テストを受けると、スコアの低い項目が把握できます。その点を踏まえながら、書籍に紹介されているトレーニングを参考に改善し、また半年後にテストを受験する作りです。テストにはリマインダー機能もあるため、メールアドレスを登録すれば2回目のテストのタイミングをお知らせしてくれます。
『EQ2.0』はこんな人におすすめ
『EQ2.0』は、次のような方に特にお役立つと言えます。ご自身のニーズと照らし合わせながら読み進めてみてください。
EQの基本を習得したい人
『EQ2.0』の前半は、EQの概念についてわかりやすく説明されています。EQの基本的な概念を理解したうえでトレーニングを実践できるため、効率的です。
「EQについてよくわからない」「基本的な知識をシンプルに理解したい」という方にもおすすめです。
実生活でEQを活かしたい人
EQに関する書籍は数多く存在しますが、この本は特に実生活で活かせるポイントが豊富に紹介されています。66ものトレーニング方法がEQを高めるうえで必要な4つのスキル別に記載されており、自分にピッタリな方法を効率的に実践可能です。
自分のEQを測定してみたい人
実際にご自身のEQを測定したうえで最適なトレーニング法を選べます。50万人に調査をおこなったうえで28の質問を生み出しており、信頼性の高いテストです。
EQを高めると得られるメリット
では、そもそもEQにはどのような有用性があるのでしょうか?EQを高めると得られる代表的なメリットについて、6つ紹介します。
ネガティブ感情が消える
EQを高めるとレジリエンスも強化されるため、ネガティブ感情が低減します。
レジリエンスとは社会的に不利な状況やストレスに対する耐性です。事実や問題と感情を区別して客観的に捉えられるようになり、負の感情に振り回されずに的確な判断や行動が取れるようになります。
人間関係がうまくいく
自分や他者の感情に対してうまくマネジメントできるため、心地良いコミュニケーションが取れます。自分の感情を過度に押さえ込むことなく、アサーティブな関係性を築くことが可能です。相手を傷つけずに自分の意見をしっかり相手に示すスキルとして役立ちます。
人に好かれる
EQは共感力にも通じる能力であるため、他者からの信頼度アップに効果的です。社会的な成功者の9割はEQが高いという結果が示されているとおり、EQ次第でいざというときに頼りにされたり、人事で選ばれたりする存在になれます。
相手の心が読めるようになる
EQが高まると相手の心が読めるようになり、交渉や商談の際に有利に進められます。相手が言葉にできない感情や疑問、懸念事項などを目線や仕草などの非言語情報から見出せるためです。
批判がイヤじゃなくなる
批判を今後に活かすポジティブな材料として受け止められるため、過度に落ち込んだり自分の人格を否定されたとモチベーションを下げたりする原因にならなくなります。
ケンカが減る
事実と感情を区別して認識できるため、不要な言い争いやイザコザが減ります。他者からのネガティブ意見について受け入れる客観性が身につくため、過度に感情的に反応しなくなるからです。
EQを高めるために必要な4つの能力
EQのメリットを効果的に活用するには、EQを構成する「自己認識能力」「自己管理能力」「社会的認識能力」「人間関係管理力」に関する理解が重要です。これら4つの能力について解説します。
自己認識能力
自己認識能力とは、瞬時に生じる自分の心の動きを正しく把握し、さまざまな状況での自分の傾向を理解する力です。次に説明する3つの能力のベースとなる力であり、そもそもこの力が発揮されないとEQはうまく機能しません。
自己管理能力
自己管理能力とは、状況や他者に対する反応をコントロールする力です。衝動を自制したり怒りや不安などのネガティブ感情を制御したりして、楽観性を捨てずに前向き自分自身を励ませる力とも言えます。
社会的認識能力
社会的認識能力とは、他者の感情を正確に読み取り、相手の心の中で何が起きているかを理解する力です。他者が求めている物事を言葉にせずとも自然と察せる「気が利く人」とも言い換えられます。
人間関係管理能力
人間関係管理能力とは、自分と他人の感情を理解し、その理解を利用して人との関わり合いをうまくマネジメントする力です。組織や集団を正しい方向に導くための正しい決断ができるため、個人では実現できないような大きな成果をあげる力として発揮されます。
『EQ2.0』で紹介されたEQの高め方
EQを構成する4つの能力に関する基本的な内容が理解できたところで、次は能力の具体的な高め方についてお伝えしていきます。『EQ2.0』で紹介されている内容をベースに解説しましょう。
自己認識スキルの高め方
まずは、自己認識能力の高め方についてです。自己認識能力を伸ばす方法は3つあります。
感情の善し悪しを判断しない
イライラすると「悪い」、ワクワクしていると「善い」と、感情にラベルを貼る傾向にあります。しかし、感情にラベルを貼ると自分が本当は何を感じているのかがわからなくなります。
よって、ありのままの感情を受け止め、認めることが重要です。感情そのものを全て感じ取るイメージで、ネガテイブな出来事を考えずにただ全身で感じるイメージを持ちましょう。
ネガティブな感情になった際には、感情からの大切なメッセージを探るようにするとEQは高まります。
ネガティブに慣れる
ネガティブ感情から目を背けず、しっかりと受け入れることが重要です。ネガティブ感情になれると、「では、どうすれば自分を変えられるか?」という意識が芽生え、自己コントロール能力や自己成長につながります。
ネガティブ感情を否定せず、本当に大切なことを教えてくれているチャンスだと受け取ってみてください。
感情を体で感じる
感情が動いた際にすぐ自覚できるためには、体の変化を見つけることが一番です。胃がキュッとなったり、みぞおちが締め付けられたり、呼吸が荒くなったり、口が乾いたりなど、感情が動くと体にさまざまな変化が生じます。
感情による体の変化は、目を閉じて体の変化に集中すると把握可能です。わざとイヤな出来事を思い出して、感情が引き起こす体の変化をリアルタイムで自覚すると、感情が出る前の体の反応がわかります。
自己管理スキルの高め方
次は、自己管理能力の高め方についてです。自己管理能力を伸ばす方法は4つあります。
運動やリラックスの時間を持つ
運動やリラックスなどの充電時間が重要です。運動・ヨガ・ストレッチ・ガーデニング・散歩などを定期的にやると、セロトニンやエンドルフィンといった脳内物質が増えて幸福感や注意力を高めてくれます。
正しく深い呼吸をする
正しく深い呼吸とは、横隔膜を大きく動かして行う腹式呼吸のことです。深い呼吸は集中力アップや気持ちの安定に寄与します。マイナス思考や堂々巡りになっている際にも、正しく呼吸し脳に酸素をたくさん送り込むと感情のコントロールに効果的です。
笑顔を作ったり笑ったりする
無理やり笑顔を作ったり笑ったりすることも、自己管理力をあげるうえで役立ちます。脳が顔の動きを察知して「ハッピーな状態だ」と勘違いし、ハッピーな気分に自然になってしまうからです。落ち込んでいる際には笑える動画や漫画などを見ることもおすすめです。
すぐ反応せず10まで数える
キレやすい人は、一つの「吸って吐いて」というサイクルを1とカウントし、10回繰り返します。すぐに反応せずに少しでも時間をあけることで、感情を客観的に見つめ直し、感情にコントロールされることを回避できるからです。
社会的認識スキルの高め方
続いては社会的認識能力の高め方についてです。社会的認識能力を伸ばす方法は3つあります。
相手の名前を呼ぶ
相手の名前を声に出して会話したり挨拶したりすると、特別な存在になれるため相手とのカベがなくなります。自己紹介された瞬間などは、名前を覚えるためにトークの出だしに相手の名前を毎回呼ぶのがおすすめです。
「必ず相手の名前を呼ぶ」と自分ルールを課すと、いつの間にか周囲の人間にも自分自身も自分のことを社交的な人間だと思えるようになります。
傾聴する
傾聴とは、頭の中で次に話すことや自分が相手からどう思われているかなどを考えず、目の前の相手の話に集中することです。傾聴の本質は瞑想と似ています。瞑想で呼吸に集中するのと同じように、会話中は五感をフルに活用して相手のみに集中しましょう。
俳優のように他人になりきる
「もしあの人だったら」と自問しながら、俳優のように相手になりきると共感力がアップします。映画に出てくる登場人物の感情を表情や仕草から想像したり、カフェでくつろいでいる際に近くで会話しているカップルの表情から男女の気持ちを読み取ったりしてみましょう。
人間関係管理スキルの高め方
最後は人間関係管理能力の高め方についです。人間関係能力を伸ばす方法は3つあります。
心を開いて他者への関心を持つ
「心を開く」とは、あなた自身について他者に打ち明けることです。人は未知のものに不安や敵意を抱く傾向があるため、周囲があなたのことを理解できれば誤解される可能性が減ります。
また、自分を知ってもらうのと同様に相手を知ることも重要です。すべての物事に自分との関連性を見出してみてください。1日3分だけ時間を取って、関係を築きたい相手のことを考え、その相手にオープンに自分のことを話し、関心を持って相手に質問してみましょう。
批判や意見に感謝をする
批判や意見はステキなプレゼントです。フォードバックをうまく受け止めるには、とりあえず「確かにその通りかもな」と考えてみましょう。
フィードバックを受けて行動が変われば、与えた人の意見を尊重していると相手にも伝わり、良好な人間関係の構築につながります。関係を築きたい相手から何かの意見をもらったら、即採用してみるのがおすすめです。
口論の流れを変える
口論になった際には、一番大切なことを思い出してみてください。人間関係において一番大切なことは、お互いにWin-Winになることです。
何のためにお互いにコミュニケーションを取っていて、何のために一緒にいるのかを思い出してみましょう。「どうすれば今よりも状況を良くできるか」にだけ焦点を絞り、自分の考えを脇に置いて客観的に状況を見ることが重要です。
相手がどのような気持ちかを想像したり、「これは難しい話しだね」と言うだけで口論の流れは変えられます。
まとめ
『EQ2.0』で紹介された内容をベースに、EQのメリットや能力を高められるトレーニング方法を解説しました。要点は次のとおりです。
- 『EQ2.0』は心理学者であるトラヴィス・ブラッドベリー氏とジーン・クリーブス氏によって書かれたEQに関する本。世界中でベストセラーになっており、日本でも注目を集めている。
- 本の巻末に付属するパスコードを利用すれば、自分のEQの点数を把握したうえで適切なトレーニング法を選べる。
- 基本的な概念と具体的なトレーニングを両立させながら効率的に能力アップが図れる。
紹介した内容は『EQ2.0』で紹介されているほんの一部です。さらに詳しいトレーニング内容に興味のある方は、ぜひ実際に本を手に取ってみてください。