共感力とは、立場の違う相手の気持ちに共感し、そのとおりであると感じ、寄り添う力のことで、EQにも関係が深いといわれます。共感力が高い人は、周りの人に好かれ、ビジネスでも成功を収めています。
今回は、共感力の概要や共感力が高い人の特徴、共感力の高め方について解説します。
目次
共感力とは何か?
人間関係を良くする能力の一つとして、「共感力」が注目されていますビジネスでもプライベートでも、人間関係で充実した生活を送っているのは、共感力の高い人です。共感力とは、具体的にどのような能力を表すことばなのでしょうか?
相手の気持ちを察し、寄り添う能力
共感力とは、「立場の違う相手の気持ちに共感し、そのとおりであると感じ寄り添える力」です。
たとえば、相手の話を聴いているとき、共感力が高い人は、思うところがあっても頭ごなしに否定せず、問われない限りは自分から助言を行いません。人間関係で苦しんでいる人が、あなたに悩みを相談したとしましょう。
話を聞き終わった後、あなたが相手に「そんなのはよくあることだから我慢しなよ」「そんなこと言ったところで何も解決しないよ」とアドバイスしたら、相談した人はどのように思うでしょうか?相談したことで気持ちが楽になることもないでしょうし、結果的に前向きな気持ちになることもないでしょう。
大切なのは、相手が今どのような気持ちでいるのか、何が心配で不安なのかを汲み取ることです。汲み取ることができたら、自分は相手に対していったい何ができるかを考えます。求められたら、自分の意見を述べても良いでしょう。
相手が自分の力を必要とするのなら、そのときにすぐに行動に移れるようにしておこうという姿勢でいることが大切であり、共感を示すということなのです。
エンパシーとシンパシー
「共感力」を英語で表現すると、「エンパシー(empathy)」となります。エンパシーが「立場の違う相手の気持ちに共感し、そのとおりであると感じ寄り添える力」であることに対し、「シンパシー」は「相手の痛みや悩み、不幸に同情すること」です。
2つは一見似たように感じられることばですが、エンパシーは「感情や状況の共有」、シンパシーは「苦しみや感情の理解」を示しています。
たとえば、火傷した人が目の前にいたとしましょう。火傷したことを「かわいそうだ」と思うのがシンパシー、その人と同じように「熱い」と感じられるのがエンパシーです。
共感力が高い人の特徴
共感力が高い人には、共通した「他者本位」の特徴があります。以下の中に当てはまることが多ければ、あなたも共感力が高い人であると考えられます。
映画やドラマを見て泣く
映画やドラマを見たり小説を読んだりして泣くことがあるのは、共感力が高いからです。登場人物に感情移入した結果、自分を重ね、同じ体験をしているように感じます。作られた物語と分かっていても感情移入するのは、共感力が高い故なのです。
事故や災害で被害者が出たニュースを見られないのも、共感力の高い人の特徴です。自分の気持ちがニュースに影響され、心が疲れてしまいます。
周りの人に対し強い関心を持っている
共感力が高い人は、周りの人と関わりを持つのが好きです。相手に強い関心を持ち、相手が好きなこともやもの、趣味など、観察しています。相手の話をただ聞くだけではなく「何故この人はそう思ったのか」「いったいどういう状況でその考えに至ったのか」などにも興味を持って聞きます。
また、相手が好むことを読み取る力も持っているので、好き嫌いなどの相手の感情の傾向を知り、共感できるのです。
傾聴できる
共感力が高い人は、相手の話に真摯に耳を傾け「傾聴」します。「傾聴」とは、相手の立場になって話をよく聞き、共感することです。
共感力の高い人は傾聴力も高く、相手が伝えたいことを遮らず、時間がかかっても最後まで聞きます。
ことばだけではなく、表情や声音、しぐさなどからも読み取っています。相手の言いたいことが想像できると、先回りして遮ってしまう人もいますが、それは傾聴とはいえません。求められない限りはアドバイスも行わないのです。
また、自分の相手の話や感情と、自分の感情を混ぜず、境界線をしっかり持っています。聞いていると、話している人と同じような表情になって行くのも、共感力の高い人の特徴です。
良いこと、悪いこと様々な経験をしている
共感力の高い人は、人生経験が豊かです。楽しいことも辛いことも経験し、乗り越えてきました。
経験の分だけ相手の状況をリアルに想像し、人の境遇と自分の経験を照らし合わせて、深く共感することができます。
洞察力がある
洞察力とは、非常に高い観察力・直観力をもって、人や物事の本質を見抜く力です。共感力の高い人は、ちょっとした行動の変化から、相手の考えや気持ちを察することができます。
たとえば、「嘘をついている」「何か心配事を隠している」など、相手の声音や顔つき、身振りなどのわずかな違いに鋭く気づき、内面の変化に気づくのです。
傷つきやすい
共感力が高い人は、人の気持ちに気が付きやすいですが、感受性が強いため、刺激に敏感に反応します。相手にその気がなくても、強めのことばや感を向けられると、一般的な人以上に傷つくのです。
また、人の気持ちを読み取ることにエネルギーを使い過ぎて心が疲れやすい点も特徴です。他にも、相手に共感するがゆえに、自分の意見を持っていない人だと思われてしまうことがあります。
共感力がない・低い人の特徴
共感力が高い人とは逆に、共感力が低い人にも共通した特徴があります。
自己中心的
共感力の低い人は、自己中心的です。相手よりも自分が中心なので、自己顕示欲が強く、「自分を理解してほしい」気持ちを強く持っています。
自分のことを理解してもらい、周りにも自分が望んだように動いてほしいと思っているのです。相手に合わせようと思わないので、自分以外の人の気持ちにも関心を持ちません。そのため、共感力はおのずと低くなるといえるでしょう。
周りの人への関心が低い
共感力が低い人は、周りの人に対し興味を持っていません。相手がどんなことが好きか、趣味は何かなどに一切関心がなく、ことばや行動から察することもしません。
そのため、周りの状況や人間関係にも疎く、空気を読まずに無神経な言動を行うのも特徴です。
相手の話に自分の感情を挟む
相手が話している途中で遮り、自分の意見を挟んでしまうのも、共感力が低い人によくある行動です。聞きながら「それは違うと思う」「自分はそう思わない」「あなたはおかしい」などと考えてしまうのは、真の共感ではありません。
知能よりも「共感力」が社会で役立つ理由
相手の気持ちになって考えることができる共感力の高い人は、周りの人に好かれ、信頼されます。共感力が高い人がいることは、人間関係を良くし、社会に良い影響を与えるのです。
コミュニケーションがうまく取れるから
共感力が高い人は、相手の気持ちがわかるので、汲み取りながら話を聴けます。感情とことばを相手に合わせて先へと促すので、相手も話しやすく、怒らせたり困らせたりすることはありません。
話しやすい相手と認識し、その後も良好な人間関係が続けられるでしょう。プレゼンテーションの場面でも活用できるスキルであるため、企業の業績アップにもつながる可能性が高まります。
相手の考えがわかるから
共感力の高い人は、普段から周囲の人を観察しているので、ちょっとしたしぐさや言動の違いから相手の気持ちや考えを読み取れます。表情だけで相手の感情がわかることもあるので、自分の感情をそれに合わせることで、無駄に怒らせたり困惑させたりすることを避けられます。
商談の場では、取引先が望んでいることを敏感に察知するため、問題解決にも制度の高い提案を行えます。相手の気持ちを思いやって取引を行うため、信頼関係を構築するためにも、共感力の高い人材は必要なのです。
空気が読めるから
周りにいる人たちの感情に気づくということは、すなわち「空気が読める」ということでもあります。「ピリピリしているので和ませよう」「一部だけで話が進んでいるから、全体をうまく盛り上げよう」など、その場で自分がどのような行動を起こせば良いか考え、状況をコントロールできるのです。
共感力を高めるトレーニング方法
コミュニケーション能力を高め、人間関係を良くしたいと考えている人は、共感力を高めることが効果的です。共感力は、生まれ持った能力ではありません。日頃の心がけで、十分に高められるのです。相手の気持ちを理解して、スムーズな会話を目指しましょう。
相手の気持ちに寄り添う
まずは相手の話をよく聞いて、気持ちに寄り添ってみましょう。相手が自分とは感覚が違う相手であっても、深く話を聴いていくうちに、徐々に感情移入ができます。
話を聴きながら、相手のことばを繰り返してみると、どうして相手がそのように思うのかなども次第にわかるようになっていきます。
自分を相手の立場に置き換えて考える
「もしも自分だったら」と、相手の立場に自分の身を置き換えて見ましょう。相手が辛い立場なら、もしも自分が同じ立場となった時に何を思い、どう行動するかを想像するのです。相手の立場に立ったシミュレーションが、共感力を高めます。
相手の話に耳を傾ける
相手の話を聞くときには、聞き役に徹して、言いたいことや思いを十分に理解しましょう。相手が何を考え、何を望んでいるかを考えていくうちに、相手の気持ちも少しずつ理解できるようになります。
だからと言って無反応に聞いているだけでは、相手はあなたがちゃんと聞いてくれているのか不安に思うものです。そこで、適切に相槌を入れたり、頷いてみせたりすれば、相手も「聞いてもらえている」と安心して思いを打ち明けられます。
また、話しやすいように先を促したり、よくわからないと感じた点は、遡ってもう一度尋ねたりすると良いでしょう。会話をしているように見せ、聞き役に徹することが共感力を高めます。
小説を読む
共感力を高める上で、小説を読むことは良いトレーニングになります。自らの経験や体験が共感力を高めることは言うまでもありませんが、それだけでは限界があるものです。小説やドラマ、映画などの登場人物になりきって感情移入し、物語を疑似体験することも、共感力を高める手段として有効と考えられます。
登場人物の台詞以外の部分の、行動などにも注意し、「なぜあんなことを言ったのか」「どんな気持ちだったのか」を想像すると良い訓練になります。たくさんの物語に触れ、感情移入してみましょう。
自分に関心を持ち理解しようとする
相手を理解するためには、自分を理解していることが重要です。そこで、深く自己分析を行い、自分が共感できる範囲を見極めておくことをおすすめします。
自分が持っている価値観に気づくことで、周りの人との考え方の差やがわかります。自分と似ている人、似ていない人それぞれに対し、適切なコミュニケーションを取れる第一歩となるでしょう。
得意ではない相手と深い話をする
あまり得意ではない、好きではない相手とも、じっくりと深い話をしてみましょう。うわべの会話だけではなく向き合うことで、相手の考えや価値観に気づける場合があります。
これまで見えなかったその人の別の面に気づければ、苦手な人にも様々な面があるとわかり、得意ではない相手との関りにも積極的になれるでしょう。
まとめ
共感力の向上には、EQの向上も欠かせません。EQはトレーニングを行うことで向上させられますが、企業で共感力についての深い知識を持った従業員がいない場合には、外部の研修講師による研修実施が絶大な効果をもたらします。
そこで、当社株式会社グロースウェルで実施しているEQ調査「EQGW」をご紹介します。
感情はその時々によって変わるものです。しかし、自分自身でコントロールできれば、ビジネスシーンでも大きな成功に結び付く可能性は高まります。
「EQGW」では、EQ調査から個人の感情のスタイルを分析し、具体的な行動指数の提示から生かすべき強みを見つけ、面談によりフィードバックを行います。EQGWの導入によって、自分や部下、チームのEQを知り、スムーズなコミュニケーションが図れるようになってとの成果が上がっています。
また、自分自身の強みや弱みを知ることで、弱みを強みに変えるきっかけにもなるとのお声をいただいています。部下やご自身の共感力を一層高めたいと考えている管理職の方に、ぜひご利用いただきたい研修です。
少しでも興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。