EQは非認知能力と類似した能力であり、幸福な人生を送るためにも必要と言われています。幼少期の体験がEQを大きく伸ばしますが、どの年齢からでもEQを伸ばすことが可能です。
今回は、幼少期にEQを伸ばすための周囲の関わり方や、自分の人生や仕事でEQが与える影響について詳しく解説しています。
目次
非認知能力と認知能力
近年注目されている「非認知能力」とは、テストのように点数で表すことができない社会性の能力であり、その人の人生を豊かに、幸せにすると考えられています。非認知能力を高めるためには、幼児期~学童期にどのような経験をし、人との関り合いの中で何を学び取ったかが重要です。
ここでは、非認知能力と認知能力について詳しくご紹介します。
非認知能力とは
非認知能力とは、テスト等で数値化することが困難な、その人の内面的な能力です。「自己認識」「セルフコントロール」「社会的能力」「意欲」「共感力」「忍耐力」などのことを言い、非認知能力が高いと社会的な成功を収めやすいと言われています。
認知能力とは
認知能力とは、「計算力」や「知識」などの、点数で表すことができる能力で、いわゆる「学力」のことを言います。代表的なものには「IQ(知能指数)」があり、他者からも能力が判別しやすいことが特徴です。
非認知能力とEQの概念
「感情の知能指数」と言われるEQ(Emotional Intelligence Quotient)は、テストのように点数で表すことができないコミュニケーション能力や調整能力を指す能力であるため、「非認知能力」に分類されます。たとえば、「意欲を持って物事に取り組むことができる」「他者の気持ちを理解しようとする」などが非認知能力である「EQ」です。
非認知能力とEQは類似した概念
EQは、非認知能力に類似した概念を指しており、IQのように能力を数値で表すことは困難な能力です。また、IQには遺伝的要素が関わると言われていますが、EQは幼いころから伸びていき成長後も保持されます。
さらに、適切なトレーニングを行うことで、どの年齢からでも伸ばすことが可能です。
非認知能力は幼少期の体験が重要
非認知能力としてのEQは、幼い頃に保護者から無償の愛をたっぷりと与えられた経験が重要です。保護者に対する信頼感と安心感の中で、自己肯定感が十分に育っていること、そして多くの子供たちと関わって社会性を身につけることが最大のポイントとなります。
非認知能力EQの育成方法
EQとは、それだけを個別に伸ばすことができる能力ではありません。さまざまな経験を積むことで総合的に身についていくものであり、何か特定のことを行えばEQが高まるといった能力ではないからです。
特に、幼少期や学童期は、多くの友達と触れ合うことで刺激を受けたり、互いに協力や調整をしたりしながら遊ぶことから、多くの学びを得ることができる時期と考えられています。「相手の良いところを見つける」「話に積極的に耳を傾ける」「一日の感情の動きを思い返してみる」など、子供は生活や遊びの中で自然とEQを伸ばしていくのです。
遊びを通して学ぶ
子供は毎日友達と関わり、遊びの中で社会的な多くのことを学びます。たとえば、おままごとに代表される「ごっこ遊び」はその最たるものです。
子供たちは、会話の中で設定や役割を作り上げ、一緒に遊ぶ仲間とその調整をしながら楽しんでいます。関り合いの中で、リーダーシップの発揮や協調性を学ぶこともできるでしょう。
その他、工作もEQを育てる遊びの一つです。どんな材料を使って何を作るかを試行錯誤し、その過程で創造力、想像力ややり遂げる力といった非認知能力を学ぶことができます。
好きなことの中から学ぶ
子供が自分で遊びたいと思ったことをさせてあげることも、EQの成長を促します。気持ちを否定せず、危険がない範囲で、子供が「したい」と言う遊びに集中させてあげると良いでしょう。
とはいえ、子供は一つのことに没頭せず、次から次へと遊びを変えようとするかもしれません。しかし、それは子供がさまざまなことに興味を示していることを表していることも多く、子供の意思を大人が尊重し好きに遊ばせることで、非認知能力が育まれていく場合もあります。
大人がEQを育てるのに適した遊びをさせようとすることは、子供の遊びを方向付けてしまい、あまり良いこととは言えませんので注意しましょう。
周りの人と関わることで学ぶ
認知能力は、読み書きや計算といった能力を指すため、他者との関りが能力の成長においてウェイトを占めることはありません。しかし、非認知能力であるEQには、周りの人との関りが重要な意味を持っています。
たとえば、自分が頑張って作り上げた工作を友達同士で見せ合うなども大きな意味を持つ行動です。お互いの作品を見ることで、相手の良いと思った点を自分の工作にも取り入れたり、反対に「ここはこうすれば良かった」などと自分の失敗にも気づいたりすることができます。
一緒に一つの作品を作るときも、制作過程で意見が分かれたりぶつかったりしたら、その調整や交渉をするなど、人との関り合いの中で学ぶものはとても多いのです。
EQを高める親の関わり方
幼少期に高いEQを身につけさせるには、保護者である親が、子供に無償の愛を与えることもポイントとなります。
とはいえ、子供への愛情表現の方法を改めて考えると、いったいどのようにすれば良いのかわからないという人もいるかもしれません。ですが、方法に特別なことは必要なく、スキンシップやことばでの愛情表現で十分に気持ちは伝わります。
スキンシップ
我が子に愛を伝える一番の手段はスキンシップです。子供が小さな頃は、そばにいて一日に数えきれないほど抱きしめたり、何もなくてもその小さな手を取ったりして幸せな気持ちになることでしょう。
しかし、子供が大きくなると、自然とその機会は減っていきます。少しずつ離れていくことは子供の成長でもあり、喜ばしいことです。
ですが、スキンシップとは、始終を傍にいてべたべたと触っていればよいというものでもありません。たとえば、良いことをしてくれたら頭をなでたり、落ち込んでいたら肩をぽんと叩いて励ましたりしてあげるだけでも、十分にスキンシップと言えます。
子供にとって、親は永遠の味方であることを、ちょっとしたスキンシップで伝えていきましょう。親子で触れ合い愛情表現することで、子供は安心して成長することができるのです。
言葉で愛を伝える
「あなたのことが大好きよ。」普段から当たり前のようにそう思っていても、あえて口に出すことはなかなかないのではないでしょうか?
わざわざ言わなくても、親は自分の子供のことを愛しているに決まっているからです。
しかし、それは大人の考えであり、子供にとってはあえてことばで伝えて欲しいこともあります。親が忙しく家事をしていたり仕事に没頭していたり、親が子供を見る余裕がないとき、敏感な子供は「自分のこと本当に好きなのかな?」と不安に思ってしまうのです。そのような思いをさせないよう、普段から「あなたのことが大好きだよ」とことばで表現することを習慣にしておくことをおすすめします。
成長すると子供は照れてしまうかもしれませんが、十分に愛情は伝わり一層の安心感を与えることができます。
EQとはこれからの時代を生きる力
EQが高い人材は、企業に良い影響をふんだんに与える存在であり、組織の一員として円滑にコミュニケーションを取り、業績の向上に寄与し頼れるリーダーに成長します。逆に、EQが低い人材は感情に振り回されたり、業務を滞らせたりする可能性も高く、企業にも不利益を生じさせる可能性も否定できません。
EQの高い人材は、組織に次のような良い影響をもたらします。
モチベーションを高める
EQの高い人は、取り組み方、考え方が常に前向きです。思い切って挑戦したことが失敗に終わることは珍しくありませんが、その失敗を悔やむだけでは何も解決しません。
それよりも、起きてしまったことをどのようにリカバリーし、良い方向へ向けていくことができるかを考えていくことが大切だと、EQの高い人は知っています。
仕事に前向きに取り組むためには、自分やメンバーのモチベーションを高めることも大切です。目標とその成功に向かって、できることを明確にして、メンバーの士気を上げることができる存在となるでしょう。
人間関係を良くする
EQの高い人は、人の気持ちの動きに敏感です。組織のメンバーが悩んでいることに気がついたときには、寄り添って話をじっくり聞き、アドバイスを行います。
自分の時間を割いて相手の話に耳を傾けることを厭いません。話を遮ったり、むやみに否定したりすることもないため、メンバーにも心から頼りにされる存在となるでしょう。
また、組織内での人間関係のこじれは、決して珍しくないことです。EQの高い人はその雰囲気を鋭く感じ取り、メンバーそれぞれの話をよく聞き、解決の糸口を探ります。
人間関係を円滑にすれば仕事もスムーズに行えることも多いため、こうした気遣いが結果的には企業の業績にもつながっていくのです。
成績が上がる
EQの高い人材は、組織内の人間関係をするだけではありません。
たとえば、他社への営業、社内での交渉においても、コミュニケーション能力を発揮して、より良い成果を得ようとします。いかに相手が無礼な態度を示したとしても、EQの高い人は感情に流されることがないため、商談においても冷静であり、相手からの信頼を失うことはないでしょう。
その結果、企業同士の信頼が保たれることで業績も上がり、企業に貢献する人材なのです。また、人の気持ちに敏感なので、相手が求める対応を選ぶことができます。営業職として新規開拓をするときにも、そういった能力は役立つでしょう。
ビジネスで成果を上げる
EQの高い人は、ビジネス面で成果を上げることができる存在です。固定観念を持たず、相手の意見を尊重するEQの高い存在は、自分の意見を押し通そうとはしません。謙虚さが、ビジネスでも新しい手法を取り入れることに躊躇がないのです。
また、ビジネスで思わぬ失敗をする時、その原因の多くは「怒り」の感情に起因すると言われています。自分に非がない場合や、相手が不条理である場合でも、ぐっとこらえなければならない瞬間を耐え抜くことができないと、目の前の成功を逃がしてしまうことにもなりかねません。瞬間的に湧いた感情に支配されてしまうと、相手の信頼を失うような行動をとってしまいます。
逆に、EQの高い人は自分の感情に振り回されません。相手のことばを耳にし、自分の怒りを瞬間的に発現しないよう、自分に対しての「アンガーマネジメント」ができるからです。その結果、怒りを出さず冷静さを失わずに評価を得て、信頼を勝ち取ります。自分の感情をコントロールすることで、ビジネスでも成功を収められるのです。
幸せに生きる
EQの高い人は、人生の幸福度が高いと言われています。
これまで紹介してきたように、社会性や対人関係を良くするEQは、人と関わり合うことが不可欠である人生において、周りの人から頼りにされ、好かれるからです。
相手の立場に立って物事を考えることができるので、EQの高い人の周りには常に多くの人が慕って集まります。自分の気持ちをいつも察してくれる、居心地の良い存在として大切にされるでしょう。
自分の感情と向き合い、しっかりコントロールできるので、衝動的な行動で周りを困らせてしまうこともありません。他者からの厚い信頼を得て、幸せな人生を歩んでいくことができるでしょう。
まとめ
仕事で成功を収めるための必須能力であるEQには幼少期の環境も大きく影響しますが、適切な研修を行うことで、どの段階からも伸ばすことが可能です。
「EQGW」では、個人のEQを調査し、分析結果に対して個別指導を行います。自分のEQについて測定し、併せて部下のEQを把握することで、組織内でスムーズなコミュニケーションを取ることが可能です。
怒りっぽい人や文句ばかり言って案を出すことができない人、極度に落ち込みやすい人に困っているなどのケースでも、EQGWの導入でメンバーのマネジメントを的確に行えるようになったとの例もあります。オンラインでの対応も可能ですので、組織の劇的な変革のためにもぜひご活用ください。