誤解を生まないように先にお断りしておくと、このコラムでお伝したいことは、現実主義が悪いとか、理想主義になるべきということではありません。
EQが発揮された状態からすれば、現実主義と理想主義の間で状況や立場に応じて往き来できることが知能であり能力と言えます。
では、なぜこのようなテーマにしたのか?
それは、日本人のEQ検査のデータを紐解くと日本のビジネスパーソンでは「現実主義」が圧倒的に多く
理想主義の傾向を示す人が極めて少なく「現実主義」に偏っていることから、広く日本のビジネスパーソンを対象にした場合に、お伝えしておくことがあると考えたからです。(シックスセカンズのEQ検査データのレポートより)
現実主義と理想主義の違いですが、言い換えると現実志向と未来志向とも言えるでしょう。
例えば、多くの日本企業では近年、内部統制や予算管理から「今月の売り上げは?」「今期予算は達成するか?」といった短期の視点・・・つまり現実主義に成らざるを得ない状況にあります。
ところが、私たちがコロナ禍で経験したように現実ばかり追い求めていた企業や組織・職場では、在宅勤務を中心とした働き方のパラダイムシフトに対応が遅れ(または対応できず)生産性の低下やビジネスにおける遅れを取りました。
一方で理想主義(未来志向)の組織では、リモートワークに速やかに対応しテレビ会議などを有効活用し、遠方との「移動」というタイムラグをゼロにして速やかたに意思決定するなど、コロナ禍の状況を逆手にとり他社を追い抜くことが出来ました。
現実主義(現実志向)を全く無視してしまえば、現状を直視出来ず足元がすくわれます。
一方で理想主義(未来志向)の視点がなければ、リスクを取って先手を打ったり、出現するであろう未来に向けた投資ができずコロナ禍で体験したようなパラダイムシフトに対応出来ません。
現実主義と理想主義の間を往き来たりバランスをとることが求められますが、永い時間をかけて現実主義に染まってしまった組織やビジネスパーソンは、頭でわかっていても理想主義に変わることは難しくなっています。
そこで、現実主義に偏ってしまった人や組織をどのようにして理想主義に変えるか、または、現実主義と理想主義のバランスをとるか、その極意をお伝えしたいと思います。
個人における極意
・いま現在得られる価値だけでなく、将来的に得られる価値を見すえて評価する
「いま本当にすべきことか?」「その判断や意思決定は将来的にどういった結果を生むか?」
「対処療法になっていないか?本当にあるべき状態は、どのような状態か?」
こうした問いについて思考したり、意見を聞いたりしてみましょう
・ありたい姿、未来像を描く
「本当にありたい姿は?」「向かうべき方向は?目標は?」「本当の目的は何か?」
「手段にとらわれていないか」「理想とする未来像は?」
これらについて具体的になるよう言語化したり、絵に描いてみましょう
・視座を高くする
自分の足元ばかり見ず、視座を高くし俯瞰してより広く見渡してみましょう
組織における極意
・多様性(ダイバーシティ)を活かす
組織の中には、現実主義の人に偏っている人もいれば、理想主義に偏っている人もいます
どちらが良い悪いではなく、いずれかを排除するのではなく、お互いに尊重しお互いの意見に耳を傾け融合を図ります。状況に合わせて現実主義と理想主義の特徴を活かしその状況に対応する。
・心理的安全性を高める
同調圧力によって表面的に統制された組織ではなく、日頃からメンバーが感じたる課題や問題、疑念や不安を隠さず偽らず組織の中で共有され、組織が健全であるために未然に事件や事故を防ぐ貴重な情報として扱われているように組織の風土を保ちます。そのために、組織のリーダーのEQが高いことが求められます。
私たちがコロナ禍によって経験したように急激な変化に対応するためには、硬直化した組織や人は対応が難しいことから、しなやかなさが求められます。EQを高め思考や行動そして感情面におけるしなやかさを身につけましょう。
効率的なEQのトレーニングには、私も参画しているグロースウェルの「EQGW」をおすすめします。
EQGWとは、個人のEQを確認し高め、企業の抱える「人」についての問題を解決へとつなげるサービスです。EQGWでは、最初に個人に向けてEQ調査を行い、その結果から個人に対してどのような部分を変えると良いのか最適化してフィードバックします。
そして私がメインで受け持つ組織研修もオンラインやオフラインで実施可能です。 導入された企業様からは、離職者の減少や、採用時のミスマッチの減少、感情のフィードバックによる行動変容などのご報告をいただいています。また、EQGWの導入後、怒りっぽい上司があまり怒らなくなったなど、従業員の方からもご好評頂いております。 この機会に、ぜひEQGWの導入をご検討ください。