EQテストとは、「こころの知能指数」であるEQを測定するためのテストです。EQテストを受けることで、自分の感性や共感の度合いや、特性として持っている強みや弱みを把握できます。
近年、EQはビジネスでも重要視されるようになり、企業によっては採用試験にも取り入れられるようになりました。今回は、EQの概要や、企業がEQテストを導入する理由、インターネット上に掲載されているEQテストについて解説します。
目次
EQテストとは
EQテストとは、「こころの知能指数」であるEQを数値化して示す試験です。インターネットで検索すると、気軽に受検できる無料のEQテストがいくつも公開されています。
これらのテストに取り組むと、最後に結果として点数とコメントが表示されるケースが多いようです。その内容が、「自分の現状」と、「ありたいと願う姿」との乖離を示し、どういった点を改善することでよりEQを高められるかを考える手掛かりとなります。
EQとは
「こころの知能指数」であるEQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、アメリカの心理学者である、ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏によって提唱された概念で、「自分の感情を適切にコントロールする能力」です。言い換えれば、コミュニケーションを円滑にし、人間関係を良好にする力といえるでしょう。
ビジネスにおいても、人間関係やコミュニケーションは成果に大きく影響します。ビジネスで成功を収める人は、感情調整能力や対人関係構築力に優れた、高いEQを持つ人材です。そのため、EQの重要性はビジネス界でも大きく取り上げられるようになりました。
感情をコントロールする能力
EQの高い人は、感情を状況に合わせ適切にコントロールするため、感情的になりません。言い争いをしているときや、不快なことを言われた時には、誰しも感情を爆発させてしまいそうになるものです。
しかし、それでは相手との人間関係はうまくいかないでしょう。そのような対立の場面でも、自分の感情を理性によって支配し、かつ心をオープンにして相手の話も聞き入れられる人間は、周りの人の信頼を勝ち取ります。企業にとっては、利益にも直結するため、ビジネスシーンでも特に重要視されるのです。
また、EQの高い人材は、周りの人の感情にも敏感です。悩んでいる人や落ち込んでいる人に気づき、思いやりを持った言葉かけをします。相手のために時間を割くこともいとわないため、多くの仲間と信頼関係を結べるのが、EQの高い人材の特徴でもあります。
IQとEQの違い
EQが「こころの知能指数」であるのに対し、「IQ」は「知能指数」であり、いわゆる頭の良さを表します。以前は小学生に対し「IQ検査」を実施していた時代があるため、むしろEQよりもIQの方が、馴染みのあることばかもしれません。
IQは論理的な思考力や、記憶力などの高さを表す数値です。遺伝的な要素も強く、不可変的な能力と言われています。その点、EQはどの年齢からでもトレーニングや研修の受講によって高めることが可能な能力であり、大人になってからでも、EQの向上は十分に期待できます。
企業がEQテストで確認したいこと
最近では、採用時に応募者のEQを測定する企業も増え、その際にEQテストが用いられるケースもみられるようになりました。企業はEQテストを利用し、応募者のどのような点を見極めようとしているのでしょうか?
メンタルの安定
EQテストによって、応募者の心の安定性やストレス耐性を垣間見ることが出来ます。近年、企業では、精神的不調による長期求職や離職が後を絶ちません。期待して採用したにもかかわらず、応募者が持つメンタル面での安定傾向が見抜けないと、お互いに思わぬ不幸を招くことになってしまいます。
しかし、採用前にEQテストを実施することで、テスト受検者のストレス耐性や対処能力などを把握が可能です。精神面で安定した人材を採用できれば、のちのちのハラスメントの未然防止にも役立ちます。
協調性
従業員の協調性の有無は、企業にとっても重要な要素です。EQが高い人は、状況に応じて自分の感情を理性的にコントロールできるので、瞬間的に沸き起こった感情を爆発させることがありません。
また、困難に立ち向かい目的を達成するために、自分の感情をどのように調整して行けばよいかを知っているので、モチベーションが高いまま保たれます。柔軟な対応力を持ち、前向きであるため、失敗を恐れ過ぎずに問題解決も自ら行います。
協調性のある人材は、他者への思いやりがあり、人間関係を豊かにします。困っている人にすぐに気づき、負担を分散させながら、全体が良くなるように努力してくれると考えられます。
このような人材は、周りにも良い影響を与えるので、企業としては喉から手が出るほどに欲しい人材といえるでしょう。
コミュニケーション能力
応募者のコミュニケーション能力の有無は、面接官が採用面接時の手ごたえで判断することが多いものです。いわゆる直感任せともいえるでしょう。
しかしながら、実際に採用してみると、面接時と異なる人物であったと落胆することがあります。応募者も、内定をもらうために、自分を良く見せようと必死で勉強し、面接に臨むわけですから、それもやむを得ないことです。
そこで、面接とEQテストを併用し、テストによるコミュニケーション能力を面接結果に補完することで、より正確な判断に近づきます。コミュニケーション能力の高い人材は、人間関係を円滑にし、社内はもちろんのこと、社外での交渉でも活躍が期待されるでしょう。
モチベーション
EQテストでは、コミュニケーション能力や対人能力のほか、行動の面から、企業にとって成果をもたらす人物かどうかの見極めが可能です。感情をコントロールする能力を持っている人材は、例え困難な状況でも、それに打ち勝つために、どのように気持ちを切り替えれば良いかを知っています。
諦めや挫折が心配される状況であっても、「直面している壁は高くても、打ち破ることで新しい世界が待っている、だから絶対に諦めない」と、自分の感情を前向きに変化させます。そして、それはその人材だけではなく、周りの人にも影響を及ぼすものです。組織全体の意識を底上げする人材として、活躍が期待できます。
EQテストへの効果的な対策
せっかくのEQテストも、上手く答えられずに低い点が出てしまうと、がっかりしてしまいます。ですが、インターネット上にある練習のEQテストは何度でも行えるため、どのような対策をするとEQテストで高得点が取れるか、普段の生活を通し対策を考えてみましょう。その後でもう一度EQテストを受けてみると、EQの成長で高得点が期待できます。
感情をコントロールする
EQの高い人は、自分の感情を適切にコントロールできます。気持ちが抑えられないほどに高ぶる前に、その感情のもととなった事象を冷静に突き止め、状況に合わせて調整するのです。感情の爆発を防げれば、ビジネスでの交渉を台無しにすることもありません。
また、気持ちを抑えて行動できる人は、周りの人からも尊敬されます。普段から、自分の感情を理性の配下に置き、コントロールできるように努めましょう。感情をコントロールできるようになると、苦境下でも前向きな意欲を保ち、モチベーションを保てるようになります。
協調性を高める
仕事の上では、苦手な相手とでもコミュニケーションを取らなければなりませんし、言いにくいことも相手を怒らせずに伝える能力が必要となります。このような協調性も、普段の努力次第で高められる能力の一つです。
協調性とは、価値観の異なる相手であっても尊重し、自分の考えと譲り合い助け合いながら、良い答えや関係に導いていく力です。複数の個人、団体と同じ目標に向かい、成功を収めるためには、協調性はなくてはならない能力といえます。そこで、相手を尊重しつつ、上手に伝える練習を心がけましょう。
感謝の気持ちを持つ
些細なことであっても、自分が嬉しいと思ったことに対して、「ありがとう」と言葉にして相手に伝える習慣を付けましょう。EQの高い人は、相手への感謝の気持ちを忘れません。
また、尊重している相手や、好きな相手のことは、大切にしたいと感じるものです。もしもネガティブな面を見ることがあっても、お互いさまと考え、相手に対してポジティブな感情を持ち、尊敬の念を持って接しましょう。
傾聴を身に着ける
「傾聴」とは、相手の話に耳を傾け、相手の立場になって理解すようとすることをいいます。相手を理解するためには、相手の言葉を直接聞き、気持ちを理解する必要があります。傾聴している間は、自分の考えとは違うと感じることがあっても、話しを遮ることはしません。
また、自分の感情を混ぜ、批判的なことも言わないようにします。相手の目を見て話を聴き、適切なタイミングでうなずいたり、相槌を打ったりしながら、しっかり聞いていることを伝えましょう。
相手の良いところを見つける
相手と積極的な気持ちで関わるには、相手のことを好きになることがとても重要です。ネガティブな面だけに目をやるのではなく、その人の良いところや尊敬できるところを見つけましょう。
会話の中で、相手の好きな部分や尊敬している部分を素直に伝えると、相手も自分に対して良い感情を抱くようになります。
自分でEQテストを受けてみる
自分の状況を手っ取り早く把握するといった点でも、インターネット上のEQテストを受けてみることをおすすめします。EQテストには、ある程度のパターンがあり、ほとんどの問題が対策次第で回答できます。
あらかじめ対策することで、スムーズに正しい回答が可能となる問題も多いので、一度テストにチャレンジするのも有効な対策です。書籍などの購入をしなくても、インターネット上に様々なEQテストが掲載されていますので、まずは取り組んでみてはいかがでしょうか?
EQテストを提供している会社とテストの概要
ここで、インターネット上に紹介されているEQテストの一部をご紹介します。問題数や難易度もさまざまですので、まずは簡単なものを一度解いてみるのがおすすめです。自分の傾向が見えると、対策もしやすくなります。
arealme
10の質問に正直に回答することで、EQが測定できます。200点満点、平均点は100点です。
問題数が少なく気軽に取り組めるため、初めてのEQテストにもおすすめです。
株式会社シーズ
25問の質問に答え、行動傾向を把握します。良く見せようと飾らず、普段の自分を思い出しながら回答すると、正確に診断できます。
VONVON
5枚の写真を見て、登場人物の感情を当てるテストです。構えずに簡単にできるので、手始めにトライしてみるのも良いかもしれません。
まとめ
EQテストでは、受検者の感性や共感の度合い、強みや弱みなどの特性を測定します。その結果で、自分のEQと改善点を知り、EQ向上への対策を立てることが可能です。簡単にできるものもインターネット上に掲載されているので、ぜひお試しください。
EQの向上には、研修の実施が有効です。しかし、社内にEQについて詳しい人材がいない場合は、外部講師を招聘するのも有効な手段となります。そこで、当社株式会社グロースウェル実施の「EQGW」をご紹介します。
EQ調査「EQGW」では、個人の感情のスタイルを分析し、具体的な行動指数の提示から生かすべき強みを見つけ、面談によりフィードバックします。EQGWの導入によって、自分や部下、チームのEQを知り、スムーズなコミュニケーションが図れるようになったとの成果が上がっています。
また、自分自身の強みや弱みを知ることで、弱みを強みに変えるきっかけにもなるとのお声をいただいています。怒りっぽい部下がいて困っている、効率的な仕事ができない部下に悩んでいるなどの管理職の方に、ぜひご利用いただきたい研修です。
少しでも興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。