いつもたくさんの友達と、楽しそうに良い雰囲気で遊んでいることが多く見られる子供は、「EQ」が高いのかもしれません。EQの高い子供は、そこにいるだけで雰囲気を良くし、周りの人にも笑顔を咲かせます。
今回は、EQの高い子供の特徴と、EQの高い子供に育てるための接し方について紹介します。
目次
EQとは
EQ(Educational Quotient)とは、アメリカの心理学者ダニエル・ゴールドマンが提唱した概念です。日本では「こころの知能指数」と訳され、感情や情緒の面において健康で、人間関係を良好にする能力を指します。
ここでは、EQについて詳しく見ていきましょう。
心の知能指数
EQとは「こころの知能指数」と呼ばれる能力で、自分の感情を理解し、状況にあわせて適切にコントロールし表現する能力です。「非認知能力」の一つと言われ、数値では表すことができません。
EQの高い人は、相手の気持ちを推し測り、適した言動を選んで行動することもごく自然にできます。また、多くの友達ができ、社会に出てからもビジネス面で成功を掴みやすいのもEQの高い人です。
EQとIQの違い
一方で、馴染みのある言葉に「IQ(Intelligence Quotient)」があります。
IQとは「知能指数」のことで、同年齢の人の中で知能が高いか低いかを表すもので、平均的な値はIQ100程度です。
IQに対し、EQとは自分の感情を知りコントロールできる能力を示すもので、共感力やコミュニケーション能力、判断力などの「生きる力」を表します。IQのように知能だけを測るのではなく、人間を広く多角的に評価する指標と考えると良いでしょう。
人の気持ちや感情はその時々で変化しますが、EQの高い人は変化の中でも自分の感情の動きを知り、適切な振る舞いにつなげることができるのです。
IQには、生まれ持った要素が大きく影響すると言われていますが、EQは、幼少期に親から与えられた無償の愛が重要と考えられています。しかし、EQはいつの段階からでも、適切なトレーニングを行うことで成長させることができる能力でもあります。
心を育てること=成功を掴むこと
日々の関わりの中で、他者と影響し合いながら子供の心は育っていきます。将来大人になって仕事に就けば、ビジネスで何かを成し遂げようとするときが来るでしょう。
目標が大きければ大きいほど、多くの人の協力が必要となります。そのときに、EQの高さが成功を運んでくるのです。
確かに、IQの高い人は高度な処理能力を持った人ですが、あくまで自分一人の持ち場で発揮できることであり、他者との関りのために活かす能力ではありません。
対して、EQの高い人は自分の能力を発揮しつつ、IQの高い人材の能力を存分に活用できるような配置をすることができます。また、その場の雰囲気に鋭く人間関係を察するので、ストレスの低い状態で能力を発揮してもらうように配慮することもできるでしょう。
そして、自分自身のEQを交渉に活かして、物事を思った方向へと導くことも難しくはありません。EQはIQのように数値化できませんが、子供にとっても大人にとっても、成功を掴むためにはなくてはならない能力なのです。
親の愛情がEQを育む
高いEQを持った大人に成長させるためには、親が無償の愛を十分に注いで育てることが一番大切です。子供が普段から「親に愛されている」「認められている」と自己肯定感を持つことで、ありのままの自分に対しての肯定感が育ちます。
失敗しても「愛されている」「認められている」と感じて安心感を得ることで、新しいことや苦手なことに挑戦する意欲が湧いてくるのです。どんなときも子供に寄り添い、泣いていたら理由を聞いて支えてあげるなどの行動を心がけましょう。
また、自己肯定感が育つと、他者の失敗にも寛容になります。そのためには、親がどんなときも子供を尊重した子育てを行うことが大切なのです。
EQが高い子供の特徴
EQが高いとされる子供は、普段の生活でどのような行動を取っているのでしょうか?良く見ていると、実は共通した特徴があります。
明るく前向き
EQの高い子供は、少しくらいの失敗や挫折にくじけることはありません。過ぎたことをいつまでもくよくよと悩んでも意味はありません。
改善すべきところを見つけ、成功に向けてもう一度取り組み直します。自己肯定感が強いため、「成功したときの自分の姿」をモチベーションにし、何度でも立ち上がり、くじけずに自分を信じてチャレンジできるのです。
その前向きな姿勢は、周りの子供の雰囲気を明るくするので、リーダーにも向いています。
対人関係が良い
人間関係において、管理することが上手なのがEQの高い子供の特徴です。協調関係やチームワークを整えたり、それぞれがWin-Winになれるよう、リーダーシップを発揮してバランスを取ったりすることができます。
また、EQの高い人は相手のことを知りたいと思う気持ちが強く、自分の時間を割いて人の話に耳を傾けることができる熱心さも持っています。人には言えなかった悩みを持っている仲間から話を引き出し、力になることもできるのです。
相手を喜ばせる反応をすることができるため、EQの高い人の周りには自然と人が集まってきます。
集中力がある
EQの高い子供は、自分の感情に流されず、その時にすべきことに気持ちを集中させることができます。思ったように作業が進まなくても、簡単にかんしゃくを起こし投げ出すことはしません。
今すべきことに焦点を当て、極めて冷静に取り組む集中力を持っています。ちょっとやそっとでは諦めないので、学校での成績も良いことが多いのです。
自己認識ができている
自己認識とは、「自分に対する認識」のことです。自分について深く理解することで自分の感情を俯瞰し、起きたことに対してどんな風に感じているかを把握できています。
自分のことをよくわかっているので、進学や就職などで人生の岐路に立たされても、正しい道を選ぶことができます。選んだことに対し、素直で一生懸命に取り組むのも、自己認識力が高い子供の特徴です。
EQが低い子供のデメリット
EQの高い子供が享受するメリットとは逆に、EQが低いことで受けるデメリットもあります。成長し、社会人になってから、自分に不利な影響を及ぼす可能性がある点とは、どのようなものなのでしょうか?
自己肯定感が低い
自分に自信がない子供は、「やってみよう」と思う気持ちが起こりにくく、チャレンジすることが苦手です。失敗して叱られることや、恥をかくことを考えてしまうからです。
「自分はどうせ失敗する」と否定的に考えがちで、自己アピールもうまくなく、損をすることも多いでしょう。
人の気持ちに寄り添おうとしない
EQの低い子供は、人の気持ちを察することができません。友達が悲しい顔をしていても、それが何に起因しているのかなどの想像をすることが難しいのです。
目の前のことしか見えておらず、周りの状況や社会のルールよりも自分の考えを優先しようとします。そのため、周りの子供とのトラブルも頻発し、人間関係もうまくいかないことが多いでしょう。
考え方が自己中心的
EQの低い子供は、周りが見えておらず、自分中心の発言をすることがあります。「やりたくないことはやらない」「自分の話ばかりずっとしている」「腹が立つと人や物にあたる」など、周りの人に迷惑をかけ協調性もありません。
「こんなことを言ったら相手が傷つく」などを想像しながら、相手の立場に立ったつもりで行動できるようになる必要があります。感情の浮き沈みが激しいのも、EQの低い子供の特徴です。
EQの高い子供を育てるポイント
親として子供を育てる中で、社会に出てから企業に貢献できるEQを身に付けさせておきたいものです。EQを高めるためには、自分を知る力の「自己認識力」、他者の感情を知る「共感力」の成長が不可欠であり、これらは幼児期に親と十分なコミュニケーションを取ることで成長します。
自分の感情に気づき、周りの人の気持ちの動きも敏感に察する「EQの高い子供」は、どのようにして育つのでしょうか?ここからは、家庭でのEQを伸ばすために効果的な取り組みについて紹介します。
会話は目を見て
子供は一日の出来事を、保護者である親に聞いてもらいたいものです。そんなときは、動かしている手を休めて、子供の話を聴ける姿勢を作り、向き合いましょう。
そして、ただ流し聴くだけではなく、「それであなたはどう感じたの?」「お友達にはなんと伝えたの?」など、質問や相槌を打ちましょう。子供の感情を共有する気持ちでいれば、話を聴く表情もおのずと豊かになります。
ただし、どうしても手が離せないときには「これが終わったらね」と、子供に話して待ってもらうことも大切です。
否定しない
EQの高い子供は、失敗をしても叱られたり、否定されたりしたことが少ないと言われています。そのため、他者の失敗も責めたり否定したりすることがなく、心を開き寛容に受け入れます。
相手を否定せずに受け入れるため、その上で自分の考えを伝えることから交渉も得意です。
スキンシップを怠らない
スキンシップには、恐怖や不安な気持ちを和らげる「オキシトシン」というホルモンの分泌を促す効果があります。
思春期になると、子供は親とのスキンシップを恥ずかしがるようになってしまいますが、それまでは、積極的に子供とのスキンシップを図りましょう。気持ちが安定していることも、子供の心の成長を促します。
ただし、子供によっては親との外でのスキンシップを恥ずかしがり嫌がる場合がありますので、無理強いは禁物です。
外で思いのまま体を動かす
何もない広場や公園での外遊びは、子供自ら工夫して遊ぶための良い機会です。そこに自生する草花や、足元の敷石などを使って、お友達とルールを作って遊ぶ体験を積極的にさせてあげましょう。
その中で生まれる「ありがとう」や「ごめんなさい」は、人と関わることでしか習得できない、大切なコミュニケーションスキルです。
不安にさせない
失敗を責められたり否定されたりすると、子供は不安に陥ります。失敗して叱られる場面を想像すると、チャレンジができなくなってしまうのです。
挑戦し、それが叶わなかったとしても、子供が努力をしたのであれば「頑張ったね!」とほめてあげましょう。自分を認めてくれている人がいることで、子供は新たなチャレンジができるのです。
できないことは一緒に解決する
子供が自分一人でチャレンジしても、なかなか解決できないことには、親も一緒に挑戦してあげましょう。特に、苦手なことへのチャレンジは、子供一人で乗り切ることは困難です。
そこで、親が一緒に取り組むことで、成功までのハードルを下げることができます。漢字の書き取りが好きではなかったら宿題以外では一日に一文字の練習、算数の割り算が苦手だったら一日に5問だけにし、達成感を味わうことを優先します。
嫌な経験を乗り越えることは、子供にとって大きな自信になります。
読み聞かせを大切にする
物語を読み聞かせることは普段の生活の中ではできないことを疑似体験し、さまざまな感情を学ぶ機会になります。成長の度合いに合った方法で、親子で本の世界を楽しみましょう。
膝の上に抱っこして、また眠る前に添い寝をしてなど、読み聞かせの方法はさまざまです。本の感想を話し合うことで想像力が育ち、表現も豊かになっていくでしょう。
最後までやり切る力を育てる
どんなに困難でも投げ出さず、成功した時の達成感をモチベーションに、物事を最後までやり抜く力を育てましょう。忍耐力を育てることでもあり、負の感情を抑制し、自分をコントロールする練習にもなります。
EQを高めるには「EQGW」の受検がおすすめ
EQの低い子供が多いと、喧嘩や怪我などのトラブルも多くなる傾向にあります。また、IQが高いだけでは、社会に出ても思うような活躍はできず、生産力の低下を招く原因にもなりかねません。仕事とは、自分1人で行うものではないからです。
そこで、社員のEQを調査し、さらなる成長を促すには、当社グロースウェルが提供する「EQGW」の受検がおすすめです。EQGWは、自分や組織のメンバーの感情パターンを可視化し8つのパターンに分類、8項目の評価レポートとして提示するEQ診断です。受検者が活かすべき強みや克服すべき課題を、面談でフィードバックします。
その後、必要であれば個別に研修を行うことも可能です。この機会に、「EQGW」の受検を検討して、社内の雰囲気づくりに役立ててみませんか?