EQとは、心の知能指数と呼ばれる概念であり、恋愛やビジネスの面でも良い関係を築くために必要な能力です。高いEQを持っている人材は、「思いやりがある」「素直」などの、共通する特徴を持っています。
今回は、EQの概要やEQの高い人材が持つ特徴、EQを高めるトレーニング方法について解説しています。組織において人材育成に携わる方に、ぜひ読んでいただきたいです。
目次
EQとは
近年、ビジネス研修の場でも注目を集めるようになっている「EQ」という概念をご存じでしょうか?EQとは、心の知能指数と呼ばれており、自分の感情をコントロールしたり、他者の気持ちに寄り添ったりすることができることを表す能力のことです。
思いやりがある人にはたくさんの仲間ができますし、人から好意を向けられやすいので恋愛もうまく、恋愛対象にもなりやすいといえるでしょう。
EQとはこころの知能指数のこと
EQとは、「こころの知能指数」と言われる概念です。アメリカの心理学者であるピーター・サロイ氏とジョン・メイヤー博士が提唱し、ダニエル・ゴールマン氏によって書籍化され、日本でも広く知られるようになりました。
EQの高い人材は、自分の感情の動きを知り、場面に応じたコントロールが可能です。また、他者の感情の動きにも敏感であるため、落ち込んでいるように見られる人を励ましたり、モチベーションが上がる効果的な声をかけたりすることにも長けています。
「こころの知能指数」と言っても、いわゆる知能指数を表す「IQ」のように数値化できない能力で、幼児期に両親から無償の愛情を得て育つことで高まる能力といわれている能力です。
EQはビジネススキルとしても求められる
EQは、ビジネスでも注目されている概念です。EQの高い人材は、自分の感情に振り回されたり、他者の感情と切り分けて行動したりできるため、組織内でのコミュニケーションを冷静かつ円滑にとることができます。
感情に支配されずに仕事ができる従業員はリーダーにも適しており、組織の生産性の向上はもちろん、ハラスメントの防止にも寄与する人材です。
また、取引先などの他社とも効果的に対話できるため、信頼関係の構築に長け、結果的には業績の向上にもつながることが期待できます。現在、EQは社員研修のプログラムにも取り入れられる機会が増え、徐々に多くの人に認知される概念となりつつあるのです。
EQの高い人は恋愛が上手
EQの高い人は、相手の気持ちを思いやり、大切にするので、恋愛も上手です。気遣いができ、ことばにしなくても気持ちを察してくれることから、恋人にするならEQの高い人がいいと考える人も少なくありません。
好きになる相手は人それぞれですが、精神的に落ち着いている、大人のパートナーと一緒に過ごしたいなら、EQの高い人を選ぶと良いでしょう。
IQとEQの違い
ところで、普段の生活の中で、EQよりもよく耳にするのが「IQ」ということばです。
IQとは、いわゆる「頭の良さ」を表す指数であり、「計算が早い」「記憶力が良い」などの能力を表します。高学歴の人は総じてIQが高く、学習面において高い処理能力を発揮することが多いようです。
また、IQには持って生まれた要素が大きく影響するため、成長過程で大きく能力を伸ばすことは難しいと考えられています。
それに対し、EQとは感情の指数を指す概念です。先天的な要素よりも、幼少期に与えられた愛情がもとになる自己肯定感が、重要な要素となっていると考えられています。
また、IQとは異なり、どの年齢からでもトレーニングによって伸ばすことができる力でもあります。
EQが高い人の特徴
人間関係を良くするスキルである、高いEQを持つ人材には、共通してみられる以下のような特徴があります。いずれも他者との人間関係を築くためには不可欠な特徴であるといえるでしょう。
共感力が高い
EQの高い人は、相手の気持ちに寄り添えるため、共感力がずば抜けて高いといわれています。相手のことばやしぐさの中から、心の中に秘められている「感情」を、ごく自然に見つけ出すことができるのです。
また、EQの高い人は相手の立場で物事を考えるので、周りの人からの信頼感が高まります。
思いやりがある
どんな相手にも思いやりを持って対応できるのも、EQの高い人の特徴です。悲しいときや辛いときにも寄り添い、必要であれば気持ちを聞いて、自分なりの考えを伝えることもあります。
自分の好き嫌いの感情とは切り離して接するので、普段は人間関係の中で苦手と感じる相手でも、信頼関係が構築できる可能性が高まります。
冷静
EQの高い人は、自己認識力が高く、自分の感情をコントロールできるため、常に冷静です。自分の感情が動かされる出来事に遭遇した時、その原因が何かを理解する方法を知っているので、場にそぐわない対応を避けることができます。
誰かに理不尽な批判をされた場合でも、反射的に感情をぶつけることはなく、さまざまな角度から考えて、結論を出すことが可能です。トラブル時の対応でも、焦りや混乱で方向性を間違うことは少ないでしょう。
素直
EQの高い人材は、とても素直です。自分に非があると思ったことについては、無意味な言い訳をせず正直に謝ります。間違いは誰にでもあるもので、それは単に軌道修正をするためのきっかけでしかないことを、EQの高い人は知っているからです。
また、自分一人ではできないことは、意地を張らずに周りの人に助けを求めます。目的を見失わず、他者と協力して目的を達成しようとします。
人の話に真摯に耳を傾ける
EQの高い人は、人の話にしっかりと耳と傾け、相手がどのような思いで言葉を伝えようとしているのかを理解します。そして、聴いた話は自分の感情とは切り離して共感できるので、固定観念に縛られず、話している人に流されることもありません。
自分の強みや弱みを知っている
EQの高い人は、自分の強みと弱みを理解しています。強みを生かし、弱いところは人に頼るので、自分一人ですべてをこなそうとしません。人に頼ることで仕事もはかどり、人間関係も構築されます。
ストレスに強い
EQの高い人は、ストレスへの耐性が高いといわれています。理不尽な目に遭っても、出来事に対して起きる自分の感情を把握してコントロールし、ストレスを溜めないように処理することができるからです。
そのため、いつも冷静でいられるのです。
諦めない
EQの高い人は、多少の困難に遭遇しても諦めることはありません。諦めそうになっても、自分の気持ちを上向きにコントロールして、投げ出さずにやるべきことに注力することができます。
粘り強い取り組みによって、最終的に成果に繋げていくことが可能なのです。
誤りを認める
自分の間違いや失敗を素直に認めるのも、EQの高い人の特徴です。失敗はどんな人にでも起きうるものです。
そのことにいつまでもくよくよしていても、何の成果も生まれません。失敗に引きずられずに気持ちを切り替え、次の行動に移せることが大切であると知っているのです。
EQが低い人の特徴
EQの高い人とは逆に、EQの低い人にもわかりやすい特徴があります。共通する点は、他者の感情よりも、自分の感情を優先する部分です。
プライドが高い
EQの低い人はプライドが高く、いつも自分が1番でいないと機嫌が悪くなります。人と比較して、優劣や勝ち負けで他者を評価するEQの低い人は、常に自分は間違っていないと思っているため、人の意見や指摘を聞き入れません。
自分が間違っていたと気づいた場合でも、それを素直に謝ることはないでしょう。自分より立場が低いと認識した相手には、あからさまに見下した態度を取ります。
自己中心的
多くの人とのチームワークが必要な場面でも、自己中心的な行動をとるのもEQの低い人の特徴です。自分の考えで物事を進めようとするため、他者の共感を得られません。
感情的
感情的になりやすいのも、EQが低い人の特徴です。感情のコントロールができないため、理性で押さえることができません、
喜怒哀楽が激しく、場面を考慮せずにすぐ怒る、怒鳴るなどの行動を起こしやすいのです。物に当たったり、大声で怒鳴るなどの行動で周りを威圧し恐怖を与えたりします。
感情に支配される人は、目の前のことに捕われ、行動の結果将来的にどのような影響が出る窯で考えることができません。その結果、仲間や部下との良好なコミュニケーションが取れなくなり、他者との交渉なども任されなくなります。
最終的には孤立していくため、自分の人生にもマイナスの影響を与えることになるでしょう。
他者への寛容さがない
EQの低い人は、人の失敗や過ちを許せず、徹底的に批判します。執拗な批判を繰り返し、相手の心に傷をつけることを厭わないのです。
しかし、他者には厳しいのとは反対に、自分の失敗は棚に上げ、なかったことにするのが上手なのも特徴です。自分に対しては甘いのも、EQの低い人材の特徴と言えるでしょう。
EQを高める方法
EQは、どのような年齢からでも伸ばせる能力といわれています。
ただし、通常通りの生活をしていても能力は伸びません。適切なトレーニングを行うことで、自分の感情をコントロールできるようになるのです。
ここでは、トレーニングの中でも、取り組みやすいものを紹介します。
毎日全員に挨拶、そして一言付け加える
朝、職場に出勤したら、自分が所属する組織の全員に笑顔で挨拶をしましょう。
一日の始まりの挨拶はとても大切ですが、そうと分かっていても、面倒な相手や嫌いな人には声もかけたくないものです。そこを努力し、笑顔の挨拶を心がけ、できればもう一言付け加えてみることをお勧めします。
「おはようございます。昨日の仕事、うまくいきましたか?」など、積極的にコミュニケーションを取ることで、相手の気持ちを推し測る訓練ができるでしょう。
傾聴を意識する
相手が何か悩んでいたり、抱え込んでいたりするように感じたら、話を聴いてみましょう。注意したいのは、意見を言うために聴くのではなく、その人が今どんな気持ちで何を悩んでいるかを、自分の感情と切り離して聴くという点です。
意見を言おうとせず、黙って耳を傾け、話しやすいように相槌を打ちながら話を聴きましょう。相手がどのような気持ちでいるかを知れば、周りがすべきこともおのずと見えてくるものです。
感情日記をつける
一日の終わりに、その日にあったことを記録する日記をつけている方も多いでしょう。その日記にもう一工夫加えることで、EQのトレーニングに効果を発揮します。それは、「感情」の記録です。
EQのトレーニングでは、出来事にプラスして「その時に沸き起こった感情」を記録することが役立ちます。何が起きた際に、どんな感情が沸き起こったのかを記録しておくと、自分の感情のくせが見えてきます。
特に怒りの感情は、瞬間的に頂点に達し、流されて思うままのことをしてしまうと、後になって後悔するケースが多いのです。感情のくせを把握しておけば、感情に流されて、不適切な発言や感情の暴発を防ぐことも可能です。
たとえば、「怒りの感情を感じたらあえて数秒間発言を控える」など、感情のやり過ごし方を身につけておくと役立ちます。
断る勇気を持つ
何にでも「YES」と言い引き受けることは他の人は喜ぶかもしれませんが、自分自身の感情を押し殺すことでもあります。断るべき内容には、しっかりと「NO」と言えるようになりましょう。
まとめ
組織内にEQの高い人材がいることで、コミュニケーションが活発になる、業績が向上するなど、さまざまなメリットがあります。しかし、EQは一部の人材の能力が高いだけではあまり効果は得られず、全体がEQの向上を意識することで、より高い成果が期待できるものです。
そこで、社員のEQを調査しさらなる成長を促すには、当社グロースウェルが提供する「EQGW」の受検をおすすめします。
EQGWは、自分や組織のメンバーの感情パターンを可視化し8つのパターンに分類、8項目の評価レポートとして提示するEQ診断です。受検者が活かすべき強みや克服すべき課題を、面談でフィードバックします。
その後、必要であれば個別に研修を行うことも可能です。この機会に、「EQGW」の受検を検討して、社内の雰囲気づくりに役立ててみてはいかがでしょうか?