近年、ビジネスシーンでも注目されている「こころの知能指数:EQ」は、後天的に伸ばせる能力です。自らトレーニングを行うことも有効ですが、企業が実施するセミナーを受講することも、EQを高める有効な手段といえます。
今回は、EQを高める意義や、おすすめのセミナーを紹介します。
EQとは
IQということばは耳にすることがあっても、「EQ」なかなか耳にすることがないでしょう。
EQは「こころの知能指数」と呼ばれる概念で、人間であれば必ず持っている能力です。ここでは、EQとは何かについて解説します。
こころの知能指数
EQは「こころの知能指数」と呼ばれ、自分の感情を状況に合わせてコントロールしたり、相手の感情に共感し、思いやったりする能力のことをいいます。
たとえば、相手の心に瞬間的に怒りの感情が湧いたからといって、そこで爆発させてしまうと、せっかくの商談が失敗に終わってしまうかもしれません。そこで、感情と論理的思考を働かせ、望ましい意思決定を行うのです。
また、高いEQを持っている人材は、感情の爆発を抑え、相手に寄り添った態度をとったり発言したりできるため、多くの人に慕われています。寄り添うとはいえ、相手に忖度するのではなく、お互いを理解し望ましい方向へと進めるように行動できるのが、EQが高い人なのです。
IQとの違い
就学時に、「IQテスト」を受けた記憶がある方も多いのではないでしょうか?IQは、いわゆる「頭の良さ」であり、その人の「知能指数」を表しています。
IQの高い人は、記憶力の良さや論理的思考が優れていることが特徴で、先天的な要素が大きく影響するといわれています。EQという概念が生まれるまでは、仕事の能力はIQで判断することが一般的でした。
しかし、IQだけでは、その人が持つ能力を測ることは困難であるといわれるようになりました。今では、仕事を成功に導く優秀な人材ほど、EQが高いといわれています。
幼少期の親の愛情が重要
先天的要素に影響されるIQとは異なり、EQは生まれてから伸びていく能力です。EQの高い人間として成長するには、幼少期に親から無償の愛情を得て育つことが大きなカギになっているといわれています。
ありのままの自分を両親に受け入れられ、自分も受け入れて好きになり、高い自己肯定感のまま成長することがEQを高めるのです。
役職とは関係なく要求される
ビジネスにおいても、EQは役職に関係なく重要視されるようになりました。EQの高い人は、周りの人の気持ちもよくわかるため、お互いに強い信頼関係をもって業務に臨み成功へと導きます。
仕事は、自分一人で行う業務は少なく、大抵の場合は仲間と協力し合って成し遂げていくものです。業務をスムーズに行うには、相手の気持ちをわかろうとし、寄り添う姿勢が必要になります。
すべての従業員がEQを理解していることで、業務が順調に流れ、より成果を上げることにもつながっていくのです。このように、EQは、リーダーの立ち位置にある管理職だけに要求されるわけではないスキルだといえるでしょう。
トレーニングで向上する
EQは後天的な能力であるため、適切なトレーニングを行えば、どの年齢からでも伸ばすことが可能です。自分の感情と向き合い、相手の感情に寄り添うことが、EQのトレーニングの基本となります。
難しくはなく、日常の中に自然と取り入れることができるトレーニングばかりですので、ぜひ取り組んでみましょう。
ビジネスでEQが重要である理由
昨今、ビジネスにおいてもEQの高さが重要視されており、新入社員の選考時にも、EQテストを用いる企業が増えてきました。EQが重要といわれるのは、どのような理由からなのでしょうか?
良好な人間関係の構築が可能になるから
EQの高い人材は、自分の感情を状況に合わせてコントロールします。
たとえば、大切な商談で、相手の一言にカッとなってしまい、言い返して場の空気を悪くしてしまったとしたらどうでしょうか?これまでは良好だった両者の関係も、個人的な感情から生まれた一言で悪化してしまうかもしれません。業績にも関わる問題に発展する可能性もあります。
しかし、EQの高い人はその場の状況を汲み取り、今自分が感情を爆発させて良いかどうかを判断します。怒りの感情は、アンガーマネジメントによって一度抑え込み、感情を作り直して、前向きな気持ちで相手に接することができるのです。
また、EQの高い人は、相手の気持ちにも敏感です。仕事は組織で行うものですが、組織内に困っている人や問題を抱えている人を見つけたら、寄り添って一緒に解決を目指すでしょう。結果として信頼関係が強まり、組織はより安定したものになります。
多様化が進む現代社会で求められているから
同じ企業といえど、従業員のすべての経歴や学歴が同じというわけではなく、人それぞれです。しかし、EQの高い人はそれぞれの立場や考えを理解し配慮して、お互いが尊重し合える組織作りに尽力します。
近年では、グローバル化によってさまざまな国籍の従業員を抱える企業もあります。生まれ育った国が違えば文化や習慣も異なりますが、EQの高い人材は、そういった違いに配慮する点でも優れているのです。
生産性の向上につながるから
EQの高い人は、組織にとって何をすることが生産性につながって行くかを見極められます。古い組織風土に感情的に縛られることなく、今何が必要かを見極めての行動ができるため、しがらみよりも効率を重視して仕事を進めることができるのです。
EQのトレーニング方法
EQは、簡単なトレーニングを取り入れるだけでも伸ばすことのできる能力です。ここからは、自分で行えるEQのトレーニングについてご紹介します。
感情日記をつける
一日の終わりに日記をつけてみましょう。日記には、その日に起きたことと、そのときに沸き起こった感情を書いていきます。
毎日ではなくても構いません。繰り返すことで、どんな状況で自分がどんな気持ちになりやすいかの「感情のくせ」に気づきます。
「こんなことを言われるとイライラする」などと気づくことができれば、同じ場面に遭遇したときに自分の感情を制御しやすく、失敗を防ぐことも可能です。
傾聴を意識する
人の話に真摯に耳を傾ける「傾聴」を意識しましょう。
傾聴では、相手の話に耳を傾け、割り込んだり意見を言ったりせず、感情に共感します。共感とは、相手の気持ちになって考え、そのとおりだと思うことです。
しかし、共感しながらも、自分の感情が引きずられないよう、線引きして話を聴く姿勢が必要となります。相手の目を見て話を聴き、頷いたり、相槌を打ったりして、しっかりと話を聴いていることを態度でも示すと、相手も話しやすいでしょう。
相手の良いところを見つける
良好な人間関係を構築する多面は、相手に対して尊敬の念を抱くことも大切です。敬意を持つためにも、相手の良い部分を探しましょう。
もしも、何かの拍子で当てのネガティブな部分を見ることがあっても、「でもこの人にはこんな良いところがあると知っている」と思えれば、相手を簡単に嫌うことはないものです。
セミナーやコーチングを受ける
社内にEQに詳しい従業員がいれば、EQについての研修を行うことも良い手段です。そういった人材がいない場合には、外部から講師を招聘して、セミナーやコーチングを開催すると良いでしょう。
EQは、社内の全員がその概念について認識し意識することで、より効果を発揮します。また、リーダーのEQを高めることで、思いやりのある組織構成へとつながり、業績アップも期待できるようになります。
セミナーやコーチングでは、EQについて従業員に広く周知するタイプや、リーダーや管理職に対して行うタイプなど、さまざまなパターンがあります。企業で必要なセミナーやコーチングを行いましょう。
開催されているEQのセミナー
EQのセミナーは、さまざまなものがあります。今回は、その中でもおすすめのものを紹介しましょう。
EQGW(グロースウェル)
最初に、当社グロースウェルが提供する「EQGW」を紹介します。
EQGWでは、まずEQの調査を行い、その分析結果をもとに、面談によって個人に対しての行動の最適化を行います。その後、必要であればEQを伸ばす研修も可能です。
感情は言語化できず、捉えることが難しいものですが、EQGWによって数値化することで、知らなかった自分を知ることもできます。具体的に、自分の行動をどのように変えると良いかを知り実践することで、相手に対してつい言い過ぎてしまう自分を抑えたり、相手に気持ちを上手く伝えたりできるようになれる研修です。
BPC(ブレイン・プロファイラー認定資格セミナー)(シックスセカンズジャパン)
EQをベースにしたコミュニケーション研修ファシリテーターを目指す人に最適の、1 on 1のコースです。参加者が抱えている悩み、テーマをベースとして進められる講座なので、自分の環境や実態に合った内容の研修が受けられます。
また、「ブレイン・ブリーフ・プロファイル」に加え、それを活用したコミュニケーション研修について学習します。受講後すぐにファシリテーションを開催できるように、ワークシートや研修スライドなどの入手が可能です。
参加者が都合の良い日での開催が可能なセミナーですので、多忙な方にも受けやすいセミナーといえるでしょう。
EQAC(SEI EQアセッサー認定資格セミナー)(シックスセカンズジャパン)
人材育成や組織開発などで、キャリア面談・コーチングなどを実施する方向けのセミナーです。Six SecondsのEQアセスメントツールを用いて、効果的なコーチング技法を習得します。
クライアントとの面談時の言語化がなかなか進まない、行動化へと結びつかずに停滞している、クライアントの内面をあり出すツールに巡り合えないなどでお困りの方には特におすすめです。
3日間の認定資格セミナーと併せ、60日間で5名への検査およびデブリーフィングの実施、レポート提出の「アフタープログラム」を修了された方は、「米国6seconds認定 SEI EQアセッサー」に認定されます。
マインドフルネス実践 ~感情のマネジメントと共感力の向上によるエモーショナルインテリジェンス開発(EQ・感情知性)~(181)(リクルートマネジメントスクール)
EQについてわかりやすく紐解き、体験的ワークを取り入れた実践的プログラムです。心配事や不安によるネガティブな感情をコントロールし、気持ちを安定させたい人や、自己認識力を上げたい人、共感力を高め協働を目指したい人におすすめです。
マンドフルネスを通じ、自分自身の感情マネジメントと、他者への共感力を高めるための理論と実践方法を学習できます。また、継続的なマインドフルネスの実践のための学びや気づきを得ることにもつながるセミナーです。
EQ(感情マネジメント力) 向上研修(株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント)
EQの向上による企業のメンタルヘルス対策の充実や、組織内のマネジメントの円滑化によって、生産性の向上を目指します。管理職用、全従業員用など、多くの研修が実施されています。
- EQ導入研修:これから本格的にEQ研修を実施する予定の従業員に対し、EQの重要性を理解させたい企業向きの研修です。EQを意識したコミュニケーションの実践にも役立ちます。
- 感情マネジメント力(EQ)向上研修~SSP:セルフサイエンスプログラム~:従業員のコミュニケーションの取り方を改善したい、自分はできていると思い込んでいる管理職の意識を改革したいなどの要望に応えるセミナーです。EQ行動特性検査(EQI)結果をベースに、行動特性を可視化し、求められる役割の実践に向けた行動目標を策定します。
- パワハラ行動改善(EQ)研修:パワハラの防止に特化した、管理職向けの研修です。
ハラスメントの研修を実施しても、なかなか効果が得られないケースや、自分は問題ないと思い込んでいる管理職の行動変容を目指します。EQ行動特性検査(EQI)の結果を用い、自らの行いにハラスメントにつながる行動がないかをチェックし、リスクを軽減するセミナーです。 - リーダーシップ開発研修(EQ):リーダー研修を行っても、具体的な行動変容に繋がらない、リーダーシップが一種類しか発揮できないなどのケースで、適切なリーダーシップを発揮するための研修です。EQによる自己開発で、相手や場面に応じた適切なリーダーシップスタイルが発揮できることを目指します。
まとめ
EQは、個人のトレーニングでも伸ばせますが、セミナーの受講で効率的に身につけることが効果的です。そこでおすすめなのが、当社グロースウェルのEQGWです。
EQGWでは、最初に個人に向けてEQ調査を行います。その結果から、個人に対してどのような部分を変えると良いのか最適化し、企業の抱える「人」についての問題を解決へとつなげるサービスです。
はじめにEQ調査によって、それぞれの感情のくせを洗い出し、結果から受検者のパターンを8つに分類します。結果のフィードバックでは、「行動」を変えることで、より良い結果が得られるように指導を行い、希望があれば研修も実施します。
EQGWの導入により、行動特性の向上や、個人の最大限での能力の発揮、職場環境も改善され、より働きやすい職場になることが期待できます。従業員にとっては、自分のEQを知る機会に、そして管理職にとっては部下や組織のEQを知る良い機会となります。
リーダー向け、新人社員向けなど、さまざまな研修も行っており、テキストだけ購入いただくことも可能です。導入された企業からは、離職者の減少や、採用時のミスマッチの減少、感情のフィードバックによる行動変容などのご報告をいただいています。
この機会に、ぜひEQGWの導入をご検討ください。少しでもご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。