EQとは「こころの知能指数」と呼ばれる非認知能力です。仕事で活躍するためには、IQよりもEQの高さが大切であると考えられています。
この記事では、EQとIQの違いや、EQの伸ばし方、仕事ではEQがより大切であることについて解説します。
目次
EQとは
EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、自分の感情を状況に合わせてコントロールしたり、相手の感情を察し寄り添ったりする能力です。日本では、「こころの知能指数」と訳されています。
EQの成長には、幼少期に保護者から与えられる「無償の愛」が重要な要素となり、その後のEQの伸び方にも大きく関わっています。子どもの頃に「ありのままの自分」を肯定して受け入れられる経験をすることは、高い自己肯定感を育てます。
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れ、自分を認めることです。自己肯定感の高い人は、他者を尊重し、認め合える関係を築くことができます。
このようにEQの高い人は、周りの人から好かれ、良い人間関係を築けることから、リーダーとしても欠かせない存在と考えられるようになりました。
自分の感情をコントロールする能力
EQが高い人材は、自分の感情を察知し、状況に合わせてコントロールします。
たとえば、仕事で取引先とのやり取りで腹を立てても、感情に任せて怒りを爆発させることはありません。なぜなら、自分の感情に任せた振る舞いが原因で取引先と険悪になってしまうと、会社同士の関係にも影響を及ぼす可能性があるからです。
一時的な感情に支配されず、理性的に行動するEQの高い人材は、人間関係で失敗しにくい人材といえるでしょう。
相手の感情を察する能力
EQが高い人が察知するのは、自分の感情だけではありません。言葉や態度、仕草をもとに、相手の感情を察する能力も持っています。
仕事でミスをしてしまった仲間が暗く落ち込んでいるときには寄り添う言葉かけをするなど、自然と相手が心を開くような行動を選ぶこともEQの高い人の特徴です。
組織を導く能力
EQの高い人材は、圧倒的なリーダーシップを持っています。自分の感情を管理し、相手の感情を察知するEQの高い人材は、相手に寄り添いモチベーションを保ちながら、組織をまとめていくことが可能です。
合理的に考え高い処理能力を誇る、いわゆる「仕事ができる」人材は世の中にたくさんいます。そうした人材を束ねて導けるのが、EQの高い人材の最強の武器ともいえるでしょう。
EQとIQの違い
普段の生活で耳にするのは、「EQ」よりも「IQ(Intelligence Quotient)」の方が多いのではないでしょうか?ここでは、EQとIQの違いについて解説します。
IQは「知能指数」、EQは「こころの知能指数」
小学校入学の頃、知能テストと呼ばれるものを受けた方も多いのではないでしょうか?知能テストとは、いわゆるIQを測定するテストで、合理的な考え方や処理・理解の速さなどを数値で表すために行います。
IQの高い人は、多くの場合は「頭が良い人」といわれており、学業でも良い成績を収め、高学歴で良い企業に就職するのが一般的です。対して、EQは自分の感情を理解し、相手の感情を察する「こころの知能指数」と呼ばれる非認知能力です。
EQの高い人は、自分の感情を場に応じてコントロールするので、感情を爆発させることがなく、常に理性的に振る舞います。IQのように作業に直結する能力ではありません。
しかし、相手の心情を察し思いやることができるため、人間関係が良く周りの人からも好かれています。
IQは先天的要素が高いが、EQは何歳からでも向上させられる
日常生活や仕事において、IQとEQは重要な要素となります。人間はどちらも生まれながらに身に着けていますが、それぞれの値が高いに越したことはありません。
しかし、IQは先天的要素が大きく、生まれ持った能力以上に向上させることは難しいといわれています。その点、EQは時間がかかったとしても、トレーニングによって伸ばすことができる能力です。
IQよりもEQが重要視される理由
かつてはIQの高い「頭の良い」人材が、仕事や人生においても良い結果を得られると考えられてきました。しかし近年、企業はIQよりもEQの高い人材の獲得を重要視する傾向へと変化しており、入社テストでEQを測定する企業も増加傾向にあります。なぜなら、人間の行動や判断は、感情により大きく左右されるからです。
IQがいくら高くても、感情をコントロールできず思った通りに感情を表現してしまう人は、自分の能力を十分に発揮できません。また、一人で完結できる仕事はなく、必ずどこかで人と関わることになり、コミュニケーションが発生します。
一方、EQの高い人材はコミュニケーション能力が高く、組織の感情のバランスを取り、チームワークの強化にも寄与します。そのため、EQの高い人材がIQの高い人材をマネジメントすることで、組織はより一層強化されると言っても過言ではないでしょう。
EQが高い人の特徴
EQが高い人には、共通して見られる特徴があります。主な共通点には次のものが挙げられます。
共感力の高さ
EQの高い人は、他者に対する共感能力が高いといわれています。相手の立場になって考え、気持ちを察することができる思いやりのある人なので、人間関係も良好です。
ポジティブさ
EQの高い人は、ちょっとやそっとのことで挫折せず、ポジティブな感情を維持できます。失敗したときも、考えても仕方のないことは横においておき、「良い経験をした」と捉えて次のチャレンジで成功に近づくための方法を考えます。
粘り強く取り組むことで、最終的に良い結果を出せることも特徴です。
素直さ
素直なところも、EQの高い人の特徴で、人の意見を素直に聞き入れます。相手の考えに共感できない場合も、「そういった考え方もある」と広い心で理解します。
また、失敗してしまったときに言い訳をせず、素直に謝ります。
ストレス耐性
EQの高い人は、ストレスに強い考え方を持っています。
たとえば、上司から不条理に叱責されれば、誰もがストレスに感じ、気持ちも落ち込んでしまうでしょう。しかし、EQの高い人は、叱責を自分のためのアドバイスと捉えるなど、ストレスと感じにくい解釈に変えることができます。
自分のモチベーションをキープして、次のチャレンジへと準備を進めることができるのです。
EQが高い人材を育てるメリット
職場の人間関係を良好にするEQの高い人材は、企業にとって今やなくてはならない存在であり、近年企業は積極的にEQ向上に取り組み始めています。EQの高い人材は、企業に次のようなメリットをもたらすためです。
リーダーとなる人材の育成
普段から他者と積極的にコミュニケーションをとれることからも、EQの高い人材はチームのリーダーに最適と考えられており、多くの人材を有しておくことは企業にとっても重要な戦略の一つとなっています。
EQの高い人材は、相手の感情に敏感であり、意識せずとも状況に応じた声がけが可能です。その人に合った声がけをすることによって、相手のやる気を引き出したり、悩みの解消の手助けをしたりします。
メンタルヘルス対策
EQの高い人材は、人の感情の動きや機微に敏感であり、相手の様子が普段と違うときも敏感に察します。こころの不調によって深刻な影響が出る前に声がけできることから、早期に心のケアをすることができるため、心の病による離職率の低下にも大きく貢献するといえるでしょう。
また、職場で起こるさまざまなハラスメントも察知しやすく、大きなトラブルを未然に防ぐ可能性があります。
生産性アップ
EQの高い人材がチームのリーダーとなっていると、生産性のアップも期待できます。リーダーが目指すべき目標を提示し、その達成のために積極的な声がけとアドバイスを行うことで、メンバーのモチベーションを向上させます。
好かれているリーダーが個別に適切な対応をしていくと、メンバーも普段以上に意欲を持ち、生産性のアップへとつながります。
EQを構成する4つの能力
EQは、複雑な4つの能力で構成されています。この4つのうちの一つでも欠けてしまうと、EQは発揮されません。
感情の識別
感情の識別とは、自分が今どのような感情を持っているかを知ることです。
たとえば、お客様対応中に、相手の理不尽な言葉によって、カッと血が上るような強い感覚を覚えたとします。これは、言葉を投げつけられて起きた「怒り」の感情であると理解します。
これが「感情の識別」です。
感情の理解
感情の理解とは、なぜ自分はそのような感情をもっているのかを理解することです。
怒りの感情が沸き起こったきっかけは、応対していたお客様が、心無い暴力的な言葉を自分に対して投げつけたからでした。
これが「感情の理解」です。
感情の利用
感情の利用とは、理解した自分の感情を利用し、その場の状況に合わせた表現にすることです。
相手の言葉には理不尽と感じる部分が多々あり、それに対して反論することも可能な状況でした。しかし、相手は自社のお客様であり、社員の自分が怒りに任せて思ったことをそのまま口に出すことは、自社にとってもマイナスとなる可能性が高いでしょう。
そこで、「これまでにも経験があるから乗り越えられる」と自分を励まし、前向きな感情を生み出すことで、穏やかな感情で対応できるように気持ちを整えます。
これが「感情の利用」です。
感情の調整
感情の調整とは、沸き起こった感情を、状況に合わせて調整し、表現することです。
自分の感情とは無関係に、お客様はさらに要望を上げてきます。怒りや焦りなどの感情が押し寄せますが、それらに振り回されずに感情を整理して、社員として適切な対応を心がけます。
これが「感情の調整」です。
EQを高めるには
EQはIQと異なり、トレーニングによって後天的に伸ばすことが可能な能力といわれています。特別なことをしなくても、次のようなちょっとした工夫を普段の生活に取り入れるだけで、EQは向上します。
EQテストで自分のEQを知る
EQの向上のためにも、まずは自分のEQを知っておくとよいでしょう。EQは目で見ることができませんが、EQテストを実施することで、数値として確認することが可能です。
インターネットで検索すると、数々の無料のEQテストが見つかります。テストの多くは選択式で、問題数はさまざまですが、自分に合ったものを見つけてチャレンジしてみるとよいでしょう。
トレーニングをする
EQは、簡単なトレーニングでも向上させることが可能です。
代表的なものに「感情日記」があります。その日の出来事を日記として綴るときに、その時にどんな感情になったか、そのきっかけは何だったのかを思い出しながら書き加えていきます。出来事と感情を対にして記すことで、自分の感情のクセを知ることができます。
また、職場でチームのメンバーに、必ず一日一回は声をかけることも効果的です。距離を近づけて行くことで、より相手の感情に近づくことができます。
そのほか、映画を観たり本を読んだりして、登場人物になり切るのも良いトレーニングになります。自分がその登場人物の立場であったらどのような気持ちになり、どう行動するのかを考えることで、相手の気持ちに寄り添いやすくなります。
研修を受講する
EQは、研修を受講することでも向上します。
インターネットで検索すると、企業向けのEQ研修が多くヒットします。従業員にEQの重要性を伝える導入研修や、EQを利用したリーダーシップを発揮する研修、管理職向けの研修など、様々なものがありますので、目的に応じて活用すると良いでしょう。
まとめ
EQは、どのような年齢からでも向上させられる能力ですが、専門の研修を受けることで、さらに効率を高めることが可能です。そこで、当社グロースウェルが提供する「EQGW」をおすすめします。
EQGWでは、初めにEQテストを受講し、個人の感情のスタイルを分析して活かすべき強みを見つけて面接でフィードバックします。その結果を行動変容へとつなげていくことで、その人自身の性格へと影響させていきます。すべてオンラインで対応可能です。
感情の起伏が激しいメンバーに手を焼いている方、自分の言いたいことを上手に伝えられずに困っている方などでお困りの職場でも、EQGW導入に寄り改善されたとのお声を多く頂いております。一名からでも対応可能ですので、ぜひEQGWをご利用ください。