我が子に、誰からも愛され、社会でも活躍できる幸せな人間になって欲しいと願うのが親心です。人に愛される人間とは、人間性豊かで、思いやりがあり、心が穏やかな人間というのが一般的な答えではないでしょうか?
そうした人物の特性には、自らの感情をコントロールするための能力「EQ」が深く関わっています。今回は、EQの高い人間に育てるための子育て方法について解説します。
目次
EQとは
「EQ (Educational Quotient)」ということばを耳にしたことはあるでしょうか?
「EQ」は「感情の知能指数」と呼ばれ、知能指数「IQ(Intelligence Quotient)」と同様、人間が持っている能力を指数で表したものです。
自分や他者の感情をコントロールする能力として、集団生活やビジネスでも注目されています。
感情の知能指数
EQが高い人は、自分の感情の動きやクセを把握しています。どんなときにどんなことを言われると嬉しくなるか、腹を立てるかなども知っているので、場面に応じて感情に振り回されないようにコントロールすることができるのです。
自分が立たされている状況の中で最適な行動を選択することができ、起きた事象を感情のままに受け止めずに、良い解釈に変えて受け入れることで、前向きな行動を取ることもできるでしょう。
EQに対し「IQ」は「知能指数」を指しますが、高いIQを持つ人材を生かすためにもEQの高いリーダーが必要とされています。
幼少期の親の愛情が重要
EQは、持って生まれた能力といわれるIQとは異なり、幼い頃に保護者から深い愛情を注がれて育つことで、特に大きく伸びるとされています。親の無償の愛の中で育った子どもは自己肯定感が高く、自分の能力を信じて挑戦し、最大限の力を発揮します。
どうしても、親は字が書ける、計算が速いなど、いわゆる知識面での成長ばかりに視点が向きがちです。IQを高めることこそ教育と思っている人も多いですが、本当に必要な幼児教育とは、子どもが持っている能力を最大限まで引き出すことであり、それは親子の絆によって得られるものなのです。
親子で学んでいく姿勢が大切
EQを育てるということは、子どもに何か課題を与えておけば良いというものではありません。親子で触れ合う時間を増やすために、休日は子どもメインの生活にシフトし、近くの公園で過ごすなど、積極的に時間を作って行くのがベストです。
確保した時間の中では、親子で学ぶ姿勢を示すためにも、子どもと一緒に自分の感情を書き出してみたり、客観的に自分の心と向き合ってみたりしましょう。
親子の時間を過ごす中で、子どもも自分の心の在り方に興味を持つようになります。普段から気持ちを伝え合い、良い感情や悪い感情もさらけ出し受け止めてもらううちに、子どもの自己肯定感も上がっていくでしょう。
AIにはできない仕事をする人間になる
人間の知的な振る舞いを一部模倣することができるAI(人工知能)は、近年ますますの発展を遂げています。単純な反復作業はもちろん、経験を重ねることで、人間のように柔軟にタスクを進めることもできるようになりました。
しかし、AIの進歩によりこれまでは人の手によって作業していた一部の仕事は、機械の仕事へと移りつつあります。そうなれば、いずれは人間が必要ではなくなる仕事も出てきます。
しかし、人の感情の機微までは、今のEQでは判断することはできません。たとえば、失敗して落ち込んだメンバーを励ましてモチベーションを上げることや、困っているメンバーに適切なアドバイスを与えることは人間にしかできないのです。
EQが高いことで得られるメリット
EQの高い人は、仕事や生活の場でもさまざまな場面で「うまくいく」経験をしています。それは、コミュニケーション能力が高いためであり、人間関係を良好に構築するからです。
仲間と共に成功体験をし、次の目標に向かうことができます。EQのトレーニングに取り組む際の目標として掲げてみてはいかがでしょうか?
人間関係や仕事で生かされる
EQが高い人は、コミュニケーション能力が高いため、組織の人間関係を温かく、円滑なものにします。組織のメンバー同士の関係においても、心の機微に気づき対話を増やす、困っている人には必要なサポートを行うなど、相手の気持ちを尊重しながら目標の達成に向かっていくことができるでしょう。
組織内はもちろんこと、他部署との関係や取引先やとの交渉もスムーズに行うことが可能です。
挫折してもくじけない
EQの高い人間は、ちょっとした挫折ではくじけません。立ち止まっても目標達成を遅らせるだけだと知っていますし、くじけたとしても気持ちを切り替え立ち直りも非常に速いのが特徴です。
EQの高い人は過去の失敗でくよくよせず、常に前向きで、新しいことに挑戦する意欲が高いと言えるでしょう。
愛される人間になる
EQの高い人は、周囲の人からも愛される人物として大切にされます。なぜなら、EQの高い人自身が、周りの人を大切にしているからです。
周りの人の心を思いやり、時間を割くことで共に成長しようとするため、その組織にとってもなくてはならない存在となります。誰からも信頼され、人気のある存在として欠かせない人物となっていくのです。
子どものEQを育てるための親の姿勢
EQの高さには、幼少期の経験が強く影響するといわれています。特に両親の「愛」が不可欠であり、親子の間の絆を深めることで子どもは深い安心感を得ることができます。
安心できるということは、失敗を恐れず自分の感情を前向きにする習慣ができていることでもあり、持っている能力を最大限発揮することができる子どもとして成長します。日々の生活で、子どもにこのようなことを伝えながら育てることで、周囲の人間にやさしく、自分の感情を調整できる人物を目指しましょう。
謙虚でいる
謙虚とは、つつましく控えめで、相手の意見を素直に聞き入れることです。謙虚さがない人間は、プライドが高く自分を良く見せようとしたり、自分の否を認めたりしないなど、人とうまく関わっていけない点を持っています。
謙虚であることは周りからの評価も高まり、良好な人間関係を築く上でも大切です。EQの高い人は、常に謙虚な気持ちを忘れません。なお、謙虚の対義語は「横柄」や「傲慢」です。
人に親切
人に親切であるということは、相手の身になって考えることができるということです。
どんな人も、何かしてもらったら嬉しいですし、相手にも同じようにも同じように良くしてあげようと思うことが多いでしょう。
しかし、自分の思い込みだけで行う親切は、「おせっかい」と紙一重でもあります。
また自分が人に行った親切は忘れ、してもらった親切は忘れないように努めることも大切です。
感謝の心を持つ
先述の「親切」にも関わってくることですが、人に何かをしてもらったら感謝の気持ちを忘れずに表現しましょう。「ありがとう」と言われて悪い気がする人はいません。子どものちょっとしたお手伝いにも、オーバーに感じられるくらいに「ありがとう」を示しましょう。
笑顔でいる
常に笑顔でいる人の周囲には人が集まります。自分を受け入れてもらえるように感じられるため、人間関係上の距離を詰めるためにも、笑顔でいることは非常に意味があるといえるでしょう。
笑顔の表情を作ると、心の中も連動して温かい気持ちになれます。辛い時、悲しい時も、笑顔を作って乗り切ることができるでしょう。
反対に、いつも不満そうにしている人には話しかけるのをためらうものです。子どもにも、常に笑顔で接するように心がけましょう。
奉仕の心を持つ
誰にとっても有限である「時間」を捧げて相手の役に立とうとすることは、相手の心に感謝の気持ちを生み出し、人間関係をより良くします。子どもの心が満たされているかを常に観察し、いつでも惜しみなく愛情を注ぎ、そうした姿勢を子どもにも示していきましょう。
幸せを分かち合う
競争心だけにとらわれ、人を蹴落とした先の勝利は、果たして幸せなのでしょうか?1人きりの勝利の先にあるのは、一時的な満足感と、その後に続く「孤独」だけです。
誰かと共にゴールを目指し、達成するからこそ幸せになれます。人間は一人では生きていけないのです。他の人を出し抜くことよりも、共に幸せを目指し、分かち合える人生を目指しましょう。
今からできるEQを育てる方法
IQは生まれ持っての要素が高い能力といわれていますが、EQはどの段階においても伸ばすことが可能な能力です。ここでも、親子関係は非常に重要な役割を持っています。
自分が大切にされている実感は、子どもの自己肯定感を伸ばし、他者にも優しく接する気持ちが芽生えるのです。ここからは、子どものEQを伸ばすための方法について紹介していきましょう。
触れ合う時間を増やす
親子で過ごす時間は、子どもが安心して過ごし、成長するためにも不可欠です。特にスキンシップは非常に大切な表現方法と言えるでしょう。
子どもが小さいときには、ごく当たり前のこととして抱っこやおんぶ、手をつなぐなどのスキンシップを行います。スキンシップによって、子どもは愛情を感じ安心して過ごすことができますが、成長と共に触れ合う機会は減って行くものです。
しかし、成長したからといって、親子の触れ合いを絶つことは良いとはいえません。ベタベタする必要はありませんが、たとえば良いことをしてほめるときには頭をなでる、良いことがあったときにはハイタッチなど、ちょっとしたことをきっかけにスキンシップを行いましょう。
ほめる・叱るを適切に行う
親にほめられるということは、自分が親に認められるということです。ほめられると、子どもの自己肯定感は上がり、心の成長につながります。認められることによって、新たなことにチャレンジする意欲も湧き、より積極的に取り組む人間へと成長していくでしょう。
また、ほめるだけではなく叱り方も重要です。もちろん「叱ってはダメ」という意味ではありません。
集団の中で生きていく以上、自分の感情を抑えたり、決まりを守ったりすることを教える必要があります。そのため、叱るということは非常に大切な行為ですが、叱り方にもルールがあります。
たとえば、何をしたら叱られるのかの明確なルールが必要です。その場の雰囲気や感情で叱るのではなく、はっきりとした基準を親子で話し合います。
また、延々と叱り続けるのではなく、1分程度に抑えることも大切です。ダラダラとしかり続けると、子どもも慣れてしまい、話を聞かなくなってしまいます。
他にも、その時にしたことについて叱るだけにし、過去のことを持ちして叱ることは厳禁です。間違った行為だけを指摘し、子どもの自尊心を傷つけるようなり方も絶対にしないようにしましょう。
ご褒美をあげる
ご褒美を上げることには、子育てへの考え方によって賛否両論あります。しかし、何も与えない状態よりも、ご褒美をあげたほうが子どもは頑張れることも事実です。
約束が守れたときには、きちんとできたことへの達成感を味わわせることも非常に重要なこととなります。何も与えずにただ励ますだけでは、長続きはしにくいのです。
なかなか家庭学習に取り組めない子どもの場合、最初は一定時間机に向かったらおやつを与えるなど継続することで、だんだんと成果を求め自ら目標を設定し、取り組める子供に成長していきます。
家庭のルール作りを家族で決める
親が注意しても、いつまでもテレビを見ていて宿題をしない、ゲームに夢中でなかなか寝ない……。やりたいことに熱中してしまう子ども時代にはよくある話です。
しかし、それをその都度注意するのも骨が折れますし、面倒になって親自身がルーズになってしまうかもしれません。そこで、たとえば「テレビは夜の〇時まで」「〇時には寝る」などのルール作りは家族で行いましょう。
子どもも参加し、家族全員が圧合って話し合い決定することで、子どもにも守る意識が芽生えます。親が決めたことを一方的に押し付けるよりも、子どもも意識して約束を守るようになるでしょう。
まとめ
幼少期に与えられた愛情により大きく伸びるとされるEQですが、どのような年齢層でも成長させることができる能力です。EQは後天的な能力であるため、企業研修への導入でも効果的な成長を期待できます。
当社グロースウェルが提案する「EQGW」は、EQの調査結果を分析し、個人に対し最適化した個別指導を行う研修制度です。導入により退職者の減少や、個人の持つ能力を最大限に発揮できる職場環境を構築できるようになったとの成果も報告されています。
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